将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2017年4月21日 (金)

田丸が三浦九段と半年ぶりに再会。将棋連盟の理事選挙での立候補者たちの公約

田丸が三浦九段と半年ぶりに再会。将棋連盟の理事選挙での立候補者たちの公約

【追記・4月26日】
現在発売中の『別冊宝島スペシャル』の中で、田丸が「知られざる加藤一二三伝説」という内容の評論記事を掲載。他に今年の春に引退が内定した森雞二九段へのインタビュー記事も掲載。
※宝島社刊。定価500円。主にコンビニの「セブンイレブン」で販売。

私は夕刊紙『日刊ゲンダイ』の知り合いの記者から要請されて三浦弘行九段への取材を仲立ちし、4月中旬に都内の同社で行われたインタビュー取材の場に同席しました。

写真は、私と三浦九段(右)。昨年9月に将棋会館での会合で見かけたとき以来ですから、半年ぶりの再会でした。三浦九段にとっても私にとっても、激動の半年間でした。

三浦九段は一連の「冤罪問題」について、当時の心境や経緯について淡々と語りました。その取材の数日前に銀河戦の対局で勝ち、今年2月に公式戦に復帰して以来、5局目で初勝利を挙げました。そのせいもあって晴れやかな表情でした。しかし、戸惑った表情を見せたり話しぶりが揺らぐことが時にあり、不正の汚名を着せられた後遺症がまだ残っているんだなと、私は思いました。とにかく三浦九段の冤罪問題は何も決着していないのが現実です。

三浦九段が語ったインタビュー記事は、5月の連休中に発売される『日刊ゲンダイ』特別号に掲載されます。

4月27日に将棋連盟の常務理事を選出する選挙が行われます。東京(理事定数は5人)は、佐藤康光九段、森内俊之九段、田中寅彦九段、森下卓九段、鈴木大介九段、瀬川晶司五段、清水市代女流六段らの7人、関西(同2人)は井上慶太九段、小林健二九段、脇謙二八段らの3人が、それぞれ立候補しました。

私は3月28日のブログで、「大物棋士や意外な棋士の出馬が取り沙汰されている」と書きました。その前者が森内九段です。後者は社会人出身の瀬川五段、女流棋士として理事選挙に初めて立候補した清水女流六段です。なお関西は過去5期の理事選挙で定数と立候補者が同数のために「信任投票」が行われ、今年のような通常の選挙は12年ぶりのことです。

それにしても前回の理事選挙で選出された7人の理事たちが、辞任・解任・選挙不出馬という形で、すべて入れ替わるというのは前代未聞のことです。三浦九段の冤罪問題が影響していることにほかなりません。

理事選挙の立候補者たちは「政策趣意書」という文書で公約を述べ、私たち正会員に配布されました。その内容の一部を要約して紹介します。

「理事会だけでなく、会員で組織する分科会を設けて問題を解決する」「コンピューターが棋士より強くなった今、各棋士の魅力と個性をどのように伝えるかが重要」「若手棋士の育成支援と、ウェブ・メディアでの普及活動を推進する」「将棋を東京オリンピックに向けた文化伝承の国家戦略に組み込み、世界に発信する」「運営に強く関わって頂ける常勤外部理事の導入を目指す」「新たなスポンサー、自治体、対局場と提携して、棋戦を安定強化させる」「国内はもちろんのこと、海外にも日本の将棋の素晴らしさを伝えていく」「子どもたちが楽しめる大会を増やす」「困難な時代だからこそ、新たな道を切り拓く先駆けとなって進んでいく」「和の精神で常務会と正会員との協力関係を築く」

10人の立候補者のうち、7人が政策趣意書で三浦九段をめぐる諸問題に触れ、早期に解決するための考えを述べました。このたびの連盟の理事選挙で、三浦九段の冤罪問題が投票にどのような影響を及ぼすのか、社会的にも注目されていると思います。

【新刊紹介】
私こと田丸昇九段が著した『名棋士の対局に学ぶ 詰め&必死』という書籍が発売されました。※創元社・1000円(税別)。
大橋宗桂、阪田三吉、大山康晴、羽生善治など、江戸時代から現代の古今の名棋士たちの実戦譜を題材にした次の一手の問題集です。
各問題には棋士のエピソードを添え、コラムでも名棋士たちの魅力的な一面を紹介しました。将棋界の歴史を振り返りながら、終盤の寄せの力を鍛えてください。

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コメント

田丸九段、いつも丁寧に情報発信、公開をして下さり本当にありがとうございます。
特に理事選立候補者の方々の「政策趣意書」の内容については今後の将棋界の行く末に関心を持ってる人間にとってとても興味深く拝見できるものでした。
今回の痛ましく酷い事件をもく二度と起こさない為にも様々な事を教訓として将棋連盟の変革や時代に伴った運営の変容が成されていく事を願っています。

三浦九段とのお写真もありがとうございます。連盟との補償についての交渉や名誉回復への方策など現在の進捗がこちらには伺い知れないのがもどかしいですが、どうぞご家族共々出来るだけ平穏な中で日々をお過ごし励まれていかれる事を強く願っております。

コンピューター将棋ソフトの棋力がプロ棋士を上回った時代において今後の職業棋士の役割は変わっていくのではないかと思っていますが、だからこそ勝負の世界とはいえ人と人とのつながりや思いやりは投げ捨てずに進んでいって欲しいです。
信頼を得るのに時間はかかっても失うのは気づいた時にはあっという間だと思いますので…。

投稿: なお | 2017年4月21日 (金) 22時59分

田丸さんこんばんは。
いつも貴重な情報ありがとうございます。
連盟は三浦九段へのしっかりした補償はもちろんのこと
全棋士が2019年のラグビーW杯、翌年のTokyo2020…へ向けて
将棋という素晴らしい日本文化を世界へ発信して欲しいと思います。
そして新たなスポンサーにはグローバル企業(例えばVisaやブリジストンなど…)も必要だと考えます。

投稿: riomanaus86 | 2017年4月21日 (金) 23時02分

日本将棋連盟の理事選挙 一般の将棋ファンは正会員の動向を
見守る以外方法がありません。

次回より選挙制度を改正して、都道府県支部や、将棋指導員
などに一定数の投票権の配分を提案します。
支部会員会費の納入額や将棋指導員年会費の納入者の意向も
反映して欲しいものです。
(自民党など政党に準ずる)
日本陸連など競技団体は、評議員を地方から選出して評議員の
投票で理事が選出されます。

投稿: 二枚落ち | 2017年4月22日 (土) 05時05分

田丸先生おはようございます。
いつも記事の更新を楽しみにさせていただいています。
個人的に、写真の幾分リラックスしたような三浦九段の微笑が印象的で、復帰されて「本当に良かった」と思う一方で、我々ファンがこういった特別な目で三浦九段を見なくなる日が来るまでは、名誉が回復されたとは到底言えないのだと感じました。
「とにかく三浦九段の冤罪問題は何も決着していないのが現実です。」
まったくもってそのとおりです。
新しく選出される理事の方はもちろん、棋界関係者が等しく共有すべき認識だと思います。
この問題の原因究明と再発防止の確立なくして将棋界の再興はあり得ません。
以前、元理事の一人がこの問題を過去のことであるかのように捉え、殊更「未来志向」を強調した記事を配信されていましたが、とんでもない。処分から半年以上経過してようやく解決に向けた道筋ができつつあるだけで、まだ何一つ解決していません。
今回の記事を拝見し、一将棋ファンとして引き続き事態の顛末をしっかりと見届けようという思いを一層強くした次第です。

投稿: 一観る将 | 2017年4月22日 (土) 09時51分

昨夜の投稿の続きになりますが、
新たなスポンサーとしてグローバル企業と連盟は大口契約を結んで…
例えば
名人戦 朝日新聞、毎日新聞社、Visa、ブリジストン
竜王戦 読売新聞、Atos、GE
棋聖戦 産経新聞、オメガ
など加われば国際的におもしろいと思います。

投稿: riomanaus86 | 2017年4月22日 (土) 17時19分

田丸先生ご苦労様です。さてさて、理事選挙で何かが変わるといいのですが。会長には順位戦に出られない森内九段がいいのではないでしょうか。専務理事には清水六段、常務理事の一人には瀬川五段を望みたいです。いずれも理事選で勝たないといけませんが!大山先生なら現役で会長でよかったでしょうが、佐藤九段は無理でしょう。佐藤九段にはしばらく将棋の方で頑張ってもらいたいです。女性棋士をNo.2に持ってくるぐらいでないと改革へ向かう意味がないですね。男性プロの対局の正立ち合いもするべきですし、イベントもただ花として女性棋士を飾るのではなく審判長などでどんどん活躍するべきです。できるかな?清水六段を理事に選ぶ勇気が男性プロにあるかな?(会長でもいいぐらいです)そろそろ清水六段、中井六段(フリー)へ七段に昇段させてもいい時期ではないでしょうか。ともに600勝の偉業があるのですから変な恩讐(中井フリー棋士への)を超えて正当な判断をしてもらいたいですね。そうなると女子プロ将棋の方とも仲直りができそうです。おもいきったことを考えてほしいです。まだまだ無理でしようか?女性の出てくるのは??

投稿: 千葉霞 | 2017年4月22日 (土) 17時40分

三浦さんとのツーショットいい感じです。
千葉霞さんのコメントはいい提案です。でも男社会の権現のようなところですからどうでしょうね。言われる通り女性棋士を飾りにしているところがおおいいです。勇気を持って、メンツは捨てて、女性棋士に縋るしかないのではないでしょうか?少しいいすぎました。

投稿: 田舎棋士 | 2017年4月23日 (日) 18時40分

 今回の事件は、様々な状況の中で、様々な人々の、様々な悪意が、恐ろしく奇跡的なタイミングでたまたま一つに重なって起きた偶発的なものだと思います。
 まさに将棋史上空前絶後の一大事件と言えるでしょう。

 これはつまり、今回の事件の再発防止は誰でもできるという事です。
何もしなくても再発しないのですから。
 なので、(本来ならタラ・レバを語るのは無意味だというのは重々承知の上で)今回に限っては「もし彼(彼女)が2016年10月11日に理事だったら、毅然として三浦九段を竜王戦に出場させていたか」という事が、一つの判断基準になると思います。

 もう一つの判断基準は、もちろん事件の真相を完全解明して相応の処分を下す事ですが、それは「単に人を処分するのが好きなドS人間」でもできる事です。

 告発者達や旧執行部メンバーを処分する「攻め」の強さだけでなく、三浦九段とその家族の名誉を身を呈して守りきる「受け」の強さも兼ね備えた、攻守のバランスの取れた人が本当に強い人と言えるのではないでしょうか。

投稿: | 2017年4月26日 (水) 10時32分

おはようございます。
最近、将棋界には明るい話題が多いですね。
最年少藤井四段の台頭や、斎藤七段のタイトル挑戦(ファンなんです)、
三浦九段の復帰後初白星、先の天童人間将棋での西村一門の大活躍…などもその一つでしょう。

ところで田中誠さんのツイートに「検証委員会」というワードが出ていました。
「第29期竜王戦挑戦者交代事件」には未だ追及・解消されていない謎や問題が残されていますから、それらを一つ一つ検証していくことは、これからの将棋界にとって重要なことだと考えています。

思い付いた順に羅列すれば、まずは三浦九段が休場に追い込まれた具体的な経緯。
「疑惑の対局」を理事たちが監視していたにも関わらず、その事実をずっと伏せていた理由。
三浦九段の味方となる師匠や研究仲間を常務会に同席させなかった一方で、呼ばないように求めた渡辺竜王を出席させるなど配慮に欠けた対応。
連盟正会員に対する、家族をも巻き込んだ文春の「中傷記事」に理事や有力棋士が荷担した件。羽生三冠のメールが当人の意図しない形で掲載された件。
また悪意ある週刊誌報道から、所属棋士の立場を守ろうとした形跡が見られない点。
米長会長だったならば、(鳥取砂丘で?)一肌脱いで週刊誌と掛け合っていたでしょう…善し悪しは別として。
連盟は当初「夏以降離席が目立った」「不自然な離席を5人前後が指摘」と発表していましたが、
のちに「8月8日の通知後は離席をかなり控えておられた」と訂正?しており、
公開されている報告書を読む限りでは、三浦九段の離席が不自然であると指摘したのは7月の対局相手1名だけなので、この辺もよくわかりません。

主に連盟理事の「悪手」について挙げましたが、他の棋士や関係者の軽率な行動がこのような事態を招いたのであれば、そちらもしっかり検証すべきだと思います。

ともかく、今回の理事選が将棋界正常化へ向けた▲初手になることを祈っております。

投稿: 1998 | 2017年4月26日 (水) 17時02分

あ~あ~スキャンダルが好きなのは分かるがあ~あ~です。連盟に通じるように田丸先生を通じて三浦さんの件についてアドバイス的な進言はいいのですが、しばらく静観されてはどうでしょうか?日本画の時は全く関心を示さないブログの回でした。折角の素敵な絵もブログの古株のお三方位でしたか?鑑賞された方もおられたようなコメントでした。こうでなくては、最初のあ~あ~…となってしまいます。当方悪気はないのですが、友人らも時折あるな!地方や都内でも将棋指導や関連名跡の紹介の回はほとんどコメントされていない。事件、中傷ポィのは延々とコメントが続く!お前さんもあまり偉そうにコメントするなともいわれます。真実が10%も出ていない事件?によくも偉そうにコメントしていたな。とは田丸先生に怒られるより効き目がありました。そのうち何年かして真実が明らかになると思います。ただ、さらに偉そうにいえば、今回の事は様々に連盟の弱点を見せたと思います。歯止めとなる策は考えておくのは悪くないことです。棋士の方々はこの点に今や懸命に検討の力をそそいでいるであろうと期待しています。ムッとされる方もおられるかもしれませんが、所詮は人様の台所事情が大きく絡んでいることですので、静観、静観。見事な日本画を鑑賞されてはいかがでしょうか。三浦さんがんばりましょう。早く調子が戻ってくれることを祈っています。

投稿: 東京散歩人 | 2017年4月27日 (木) 17時41分

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