将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2015年10月14日 (水)

50年前にドラマ『王将物語』で関根十三世名人の役を演じた俳優の丹波哲郎さん

50年前にドラマ『王将物語』で関根十三世名人の役を演じた俳優の丹波哲郎さん

私が以前に連載していた『週刊将棋』のインタビュー記事から、将棋を愛好した俳優の故・丹波哲郎さんのことを紹介します。

私は15年前の2000年に映画関係の知人の紹介で、東京・西荻窪に住んでいた丹波さんの自宅を訪れて取材しました。

丹波さんは将棋が大好きでした。写真・上は愛用の盤駒。かなり使い込んだと思われる盤がそれを物語っています。

撮影現場で合間によく指した俳優は、勝新太郎さん、安藤昇さん、小松方正さんなど。勝さんは自分が勝つまでやめないので、撮影時間になると丹波さんがわざと負けたこともあったそうです。

50年前の1965年(昭和40年)に『王将物語』というテレビドラマが3ヶ月にわたって放送されました。伝説の棋士である主役の阪田三吉を長門裕之さん、妻の小春を藤純子さん(現・富司純子)、三吉のライバルの関根金次郎十三世名人を丹波さんが演じました。

奨励会に入ったばかりの私は、そのドラマを夢中になって見ました。長門さん(当時31歳)の三吉と藤さん(同19歳)の小春のフレッシュな熱演ぶりは今でも記憶に残っています。丹波さん(同42歳)のクールな演技と棋士らしい対局姿も格好よかったです。手つきも決まっていて、関西の重鎮だった故・熊谷達人九段に技術面や手つきの指導を受けたそうです。

丹波さんは1977年にある夕刊紙の企画で、中原誠十六世名人と2枚落ちの手合で記念対局をしました。そのときは名人に対してみっともない将棋を指しては失礼だと思い、事前に銀多伝定跡を勉強しました。対局当日は羽織袴の姿に威儀を正して臨みました。そして厳しい攻めを繰り出して、見事に勝利を収めました。

丹波さんは心霊学の研究家として有名でした。『大霊界』という映画を制作したこともありました。霊界での将棋について聞いたところ、次のように語りました。

「霊界というのは人間界とまったく変わらないんだ。だから将棋もあると思う。霊界には時間の観念がないので、将棋を好きな人はひねもす指している。ただ霊魂(性格)が同じじゃないと一緒に行動しないから、波動の違う大山さん(康晴十五世名人)と升田さん(幸三実力制第四代名人)が盤を挟むことはないだろうね」

私は取材が終わると、平手の手合いで丹波さんと指しました。定跡はまったく知らないという話でしたが、相矢倉の本格的な将棋になりました。そして私が丹波さんが優勢になるように指し進めると、写真・上の金打ちで見事に詰めて勝ちました。よほどうれしかったのか、ある高名な歌舞伎役者にもらったという舞扇を私に贈ってくれました。

50年前にドラマ『王将物語』で関根十三世名人の役を演じた俳優の丹波哲郎さん

大きな白熊の敷物があった丹波さんの自宅の応接間。「霊界御殿」としてテレビ番組でよく紹介されたものです。

丹波さんは2006年に84歳で亡くなりました。霊界では勝新太郎さん、長門裕之さんらと将棋を指していることでしょう。

 

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コメント

丹波さんは私の好きな俳優さんの一人です。最近NHKでファミリーヒストリーが放映されました。丹波さんの御先祖から丹波さんまでをご子息がゲストと、楽しく拝見させてもらいました。御先祖様(医師)が朝廷の正式な記録として残っているのには驚かされました。その後の現代の方もそうそうたる人物にも感動しました。少しはみ出した丹波さん、それでも歴史に残る俳優さんとして成功されています。将棋も楽しんでいたのですね。

投稿: 東京散歩人 | 2015年10月15日 (木) 12時15分

丹波さんの家系図は昔から有名でした。その一族の中では異色な人物といったところでしょうか。将棋はどうでしょう、楽しまれていたようですから、アマ3段くらいはあったでしょうか(アマくして)。田丸先生の感触では初段くらいでしょうか?でも結構いろいろな役者さんを巻き込んで指していたようで将棋普及には大貢献ですね。テレビでの刑事のボス(Gメンの黒木警視、のちに警視正)や真田の殿様(真田幸村の父)とは違って実像はとても気さくで優しい方だったようです。将棋盤もいいですね、表面が剥げているのでしょうか?磨かないところが歴戦の跡ですね。手つきも教わったとおりで、これだけでも名誉5段はありますね。楽しい記事でした。

投稿: 田舎棋士 | 2015年10月16日 (金) 12時04分

こんばんわhappy01papernote。前回の川島さんにつづいての、週刊将棋『コーヒーブレイク』(当時の連載タイトル)ネタですね。さっそくファイルを持ち出しました。丹波さんへの取材は連載最終回で、まさに連載の締めにふさわしい大物登場でした。記事には『王将物語』の技術指導は、関西の名棋士にして名理事だった故・熊谷達人(くまがい みちひと)九段(内藤先生より9歳上。1977《昭和52》年46歳で逝去)だったという記事に、対・中原戦のほか『解説の棋士も面白い。原田泰夫さん(故・九段)解説は温かみがあるし、石田和雄さん(九段)の話は、愉快で分かりやすく、解説者としても独立できるほど』と、丹波さんが両先生を褒める言葉も載っていました。いろんな役をこなされた方ですが、『Gメン75』は私は幼稚園児でしたので知らず、思春期の時に見たときは『目つきの鋭い人だなあ・・・』と思いましたcoldsweats01。亡き美人女優・大原麗子さん主演の大河ドラマ『春日局(かすがのつぼね)』で、威厳ある徳川家康役を演じられ、その演技に圧倒されました。・・・来年で没後10年。改めてご冥福を祈りますthink。丹波さんの羽織袴姿の対局姿、立派だったでしょうねえ・・・今の将棋好きの俳優さんたち(渡辺 徹さんほか)もぜひ見習ってほしいものですangryrock。無論私たち将棋ファンもねcoldsweats01。田丸先生、皆さん、寒くなってきますので、風邪など引かれませんよう・・・happy01papernote

投稿: S.H | 2015年10月17日 (土) 23時55分

丹波さん、映画スターですね。はじめのころは悪役でしたか。殺人犯で逃走、刑事が追いかけるという場面。白黒の映画をケーブルTVで放送していました。悪役でも出番が多いのです!スターの片鱗ですね。ハリウッド映画も三船さんより早かったのではなかったでしょうか。「そして私が丹波さんが優勢になるように指し進めると、写真・上の金打ちで見事に詰めて勝ちました」は案外丹波さんを応援する霊界の将棋名人が田丸先生をコントロールしていたのかも知れません。(少し違うかな?先生は勝つもりはなかったのだから)

投稿: 千葉霞 | 2015年10月18日 (日) 15時00分

著名人のインタビュー記事紹介!丹波さんの巻。囲碁でも対局が終わってみれば2目敗け(アマ)、アマが2子置いての結果ですね。2目勝ちもあります。漫画のヒカルの碁でもそんな場面が描かれていますが、プロは本当に強いですね。団体で所属していた時ですが、院生が指導に来られるのです。2段の先生も一緒でしたが、アマ側の私らですが、全国レベルもいましたが、院生の方に2子から4子置いて勝てないのです。奨励会員もですが、碁の院生も強いです。漫画と同じで丹波さんも田丸先生に緩めてもらったとは思ってはいたでしょうが、誘導とまでは思わなかったでしょうね。緩めるは誘導の内ですから同じことですね。でもうれしいものです、プロと対局できるのは!勝てばなおさらです。

投稿: 囲碁人 | 2015年10月25日 (日) 15時44分

丹波さんの記事を拝見しているところで次の対局結果が入ってきました。
≪第5期加古川青流戦決勝三番勝負(増田康宏四段 対 稲葉聡アマ)第3局は、稲葉アマが勝ち2勝1敗でアマチュアとして初の棋戦優勝を果たす≫稲葉さんは元奨励会だったでしょうか。それにしてもこれも快挙でした。以前にも三段のAさんが優勝され(谷川門)、結局次点1ということで大したことのない栄誉?になりました。今回はどうでしょうか?プロ棋戦優勝はやはり即プロ入りということになればいいのですが?(本人の意向にもよりますが)全棋士参加ではないのですが、戦績から見てプロ棋士試験を上回る快挙と思われます。前回の三段氏もですが、ここはなんとかしないとプロの面目もたたないのではないでしょうか。フリークラス入りが相当だと思われますがどうでしょうか?

投稿: 将棋九段 | 2015年10月26日 (月) 11時34分

アマの稲葉さん加古川清流戦の優勝おめでとうございます。すごい快挙になりました。奨励会員、プロをなぎ倒しての棋戦優勝ですから連盟側はどういった対応をされるのでしょうか?以前「新人王戦」でしたでしょうか、谷川先生の門下の方が優勝の快挙をされた時には次点1とかでした。何?と思われたものでしたが、一応プロ棋戦と名うっているのですから昇段からみはあってもおかしくなかったとコメントもされていました。今回はアマが堂々と棋戦優勝されたのですから、ここは次点はあげられません!プロ棋戦優勝は即プロ位は当然と思います。そう思われるファンも多いのではないでしょうか。これ位でプロとは?という向きもありましょうが、あとは本人次第でしょう。いかがなものでしょうか、ご意見具申の程を宜しくお願いします。

投稿: 千葉霞 | 2015年10月26日 (月) 11時48分

さてさて困ったことになりました。プロ棋戦(加古川清流戦)においてアマの強豪稲葉氏が優勝されました。他のアマ棋戦優勝と違いプロ棋士(4段)試験資格以上のポイントをあげられました。連盟はどうされるのでしょうか?ご本人がプロ入りの意思がなければそれまですが、あればフリークラス入りは当然な結果と見えますがどうでしょう?プロ試験より厳しかったのではなかったかと思う次第です。丹波さんの後押しがあったかどうか??

投稿: 古代子孫 | 2015年10月26日 (月) 11時55分

週刊将棋が休刊。を取り上げていましたのでコメントしました。値上げが結構ありましたね。いまや「碁」より100円近く高くなっているのではないでしょうか。ファンだから買うだろうという姿勢がなきにしもあらずではないでしょうか。半面、電子ニュース化に切り替えることも早かったかも知れませんね。マイナス材料を自分たちで作り出していた面もあろうかと心配もしていました。本来地味なゲームなのですから、電子の速報性よりも活字の豊かさの方に力を入れてほしいですね。いずれにしましても、紙活字、電子版とどちらも特徴があり、人それぞれです。電子の良さは運営にも使われているようです(対局棋譜など)。効率的さに活用を広げて、将棋記事電子配布はそれからでもいいのではないでしょうか。IT戦略もほどほどにといいたいところです。お金がかかります。将棋新聞紙版も文化でしたのに?思慮が足りないというのは言い過ぎでしょうか?残念ですね、休刊、そして廃刊でしょうね。(将棋世界誌もいらなくなるのもそう遠い話ではなくなってきました)連盟の独自・独占配信権を狙っているとは勘ぐり過ぎでしょうね。スポンサーは大事にしたいですね。利益は分配しないと潰れます??お考え下さい。裏読みしすぎでしょうが、もめ事は見たくない心配性の意見です。

投稿: 東京散歩人 | 2015年10月29日 (木) 10時48分

 田丸先生のUPがないので気をもんでいます。
 違う話題です。ファンの方からのレスも歓迎です。
 志村けんは好きなコメディアンで、優秀でもあります。
 ただ、将棋コントばかりは、将棋を愛する者として下品な気がしてなりません。
 芹沢さんが生きていたら注文をつけたのでは、などという気もします。
 プロ棋士の間で話題になり、連盟としての対応が何かあったのでしょうか。
 お教えください。

投稿: キムテツ | 2015年11月 8日 (日) 16時54分

キムテツさんのお気持ちは分かりますが、志村けんに限らず、お笑いネタですからしようがないですね。真面目にやれ、将棋ネタをするな、とはいわないでしょう(連盟は)。お笑いが一度(たくさんあるとは思いますが)非難されたものには、「王さん」を便器かなにかでネタにしたときですね。これには皆が憤慨されたのを覚えています。なんでもするんですよ、笑いをとるためには。彼らも真剣なのでしょうね。ですから、自制心や良心を持つべきなのでしょうが?許されるが驕りと混じって錯覚してしまうのでしょうね。将棋ファンが騒ぐべきでしょう。ツイッターなどで!連盟が出てくるのはその後でしょうね。「まあまあ、ほどほどに」と大人の対応でしょうか。それでいいと思います。ちなみに今回のは見ていません。怒りは抑えましょう。

投稿: 田舎棋士 | 2015年11月 9日 (月) 10時54分

キムテツ氏。お笑いはしょうがないですね。こちらも笑ってしまうしね。ケーブルTVでカトちゃんと志村けんの将棋ギャグを偶然(昨日)みました。いい盤を使っていました。盤を挟んで、カトちゃんが刀で切る、志村が銃で撃つという最後の場面を見ました。両者対局姿勢に戻り感想戦まがいをしていました。随分前のでした。囲碁人さんに怒られそうですが、囲碁でもよかった場面ですね。台本書いた方の趣味でしょう。座っている競技での突然ハプニングでしょうか?落ちも感想戦まがいで「なあに見てんだよ」と終わっていました。中盤までを見ていないので、笑いはなかったのですが、どうしようもないコントでした。確立したものを小馬鹿にして笑いをとる、芸人さんの常套手段だったですね。

投稿: 将棋九段 | 2015年11月13日 (金) 12時27分

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