将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2015年7月31日 (金)

通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式

通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式

今年の名人戦で挑戦者の行方尚史八段を4勝1敗で退けて、2期連続・通算9期目の名人を獲得した羽生善治名人の就位式が7月24日、東京・目白「ホテル椿山荘東京」で開催されました。会場には関係者と将棋ファンなど、約500人が祝福に訪れました。

羽生の名人獲得数は、大山康晴十五世名人の18期、中原誠十六世名人の15期に次いで歴代3位です。さらに先日の王位戦第2局で挑戦者の広瀬章人八段に勝ち、羽生の通算勝利数は大山十五世名人の1443勝に次いで、加藤一二三九段と並ぶ歴代2位の1320勝に達しました(記録は7月末日時点)。

羽生の強さは、まさに向かうところ敵なし、という感じです。ただ実際の将棋の内容は、いつもすれすれで勝っています。今年の名人戦も第3局から第5局は押され気味で、結果が1勝4敗と逆になってもおかしくありませんでした。

羽生が過去5年のタイトル戦で対戦した棋士の中で、同年代は森内俊之九段と藤井猛九段の2人だけです。後は渡辺明棋王、深浦康市九段、久保利明九段、三浦弘行九段、木村一基八段、行方八段、広瀬八段、豊島将之七段、中村太地六段と後輩ばかりです。9月から始まる王座戦の挑戦者も27歳の佐藤天彦八段です。

羽生は今では後輩の棋士たちに追われる立場になっています。将棋連盟会長の谷川浩司九段は就位式の挨拶で「羽生さんを追い詰める元気のある若手棋士が出てきてほしい」と語り、若手棋士の奮起を促しました。

羽生名人は謝辞で「最近は以前に流行した戦法がよく指されます。それは温故知新(昔のことを研究して新しい考えや知識を得るという意味)や不易流行(時代を超えて不変である不易の句も流行の句も、ともに俳諧の本質から生じるという松尾芭蕉の俳論)というものです。名人戦の舞台で指せるのは、棋士にとって名誉であり喜びです。名人戦に参加している間は、その価値や意義を少しでも高めたいと思います」と挨拶しました。

通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式

アイドルグループ・乃木坂46の伊藤かりんさんが羽生名人に花束を贈呈しました。かりんさんは「3月のA級順位戦の最終日に羽生さんと初めて会ったとき、とても優しくしてくれました。最近は将棋がますます好きになりました。将棋界の発展のために微力ながら努めていきたいです」と挨拶しました。かりんさんは4月からNHKの将棋番組『将棋フォーカス』で司会を務めています。関係者の話では棋力はだいふ上達したそうです。

通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式

作家の朝吹真理子さんは「以前に羽生さんと詩人の吉増剛造さんの対談記事を読んで、羽生さんのファンになりました。名人戦の第4局で対局をじかに観戦しましたが、深海にいるような恐ろしい雰囲気でした。思考が肉体を突き破り、人が人でなくなるような感じでした」と祝辞を述べました。

朝吹さんは4年前に小説『きことわ』で芥川賞を受賞したとき、テレビのインタビューで「趣味は将棋とチェス。将棋は小学生時代から興味を持っていました。名人戦や竜王戦のテレビ中継は、いつもかじりつくように見ています」と語りました。それ以来、対局を観戦して随想を書く機会があります。

通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式

羽生名人に贈られた名人の推戴状。

通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式

羽生名人の希望によるコーヒー茶碗の記念品。

 

|

対局」カテゴリの記事

コメント

羽生先生名人位防衛おめでとうございます。
本当に強いですね。この世代の先生方も強いです。若手といえばついにタイトル戦登場の新A級佐藤天彦先生、相当強い印象ですね。どうなりますか。豊島先生は敗戦、広瀬先生は苦戦ですね。なかなかに難しそうな羽生先生の壁でしょうか。勝数はすごいというしかありません。やはり長く棋士でいると負け数が多くなってきているようですね。加藤先生の1000敗も相当なすごさですがなにやら割り切れません。若手の先生方は「羽生将棋」を研究されているのでしょうが、どうなのでしょう?〇〇先生ならここではこう指すというパターンはよく解説にありますが、羽生先生にはそれはないのでしょうか?米長先生のために研究されたという伝説?、「中原名人はこう指す」から云々…米長新名人誕生!羽生先生などが米長先生を囲んだとされる有名な伝説?ですね。(TVでもやっていました)羽生先生ならこう指すと研究はされているのでしょうが、思いどうりにはいかないものなのでしょう。
佐藤先生に期待します。

投稿: 千葉霞 | 2015年7月31日 (金) 14時52分

羽生名人の強さは不思議な強さです。名人戦でもありましたが途中まで「完封勝ち」といわれていたのに逆転負け。挑戦者は涙ぐんでいたとか。
負けたほうが「なぜ負けた?」という将棋が多いような気がします。
かなり前ですがアマ名人と角落ちで対局し負けたアマ名人が「どうして負けたのですか?」と羽生さんい聞いていたのが印象に残っています。
どうしてかわからない、いつの間にか負けているというところが羽生さんの強さなのでしょうか?

投稿: こうめい | 2015年8月 1日 (土) 09時52分

羽生先生は強いですね。40歳を超えているとは思えません。早い棋士で30歳代から力が落ちてくるのが二昔前(以前は一昔前ですね)の話。40歳代が弱くはない絶好調の若手を粉砕してしまうのですから、驚きです。まだまだ頭が柔らかいのですね。名人位防衛おめでとうございます。

投稿: 田舎棋士 | 2015年8月 1日 (土) 12時35分

羽生先生名人位防衛おめでとうございます。併せて加藤九段に並ぶ勝数おめでとうございます。この勝数でも7割の勝率は相当なものですね。大山名人のような強さではないでしょうか?これを倒す棋士はどこにいるのでしょうか。さるさびるさんではないですが、今20歳までの奨励会のお方が?でしょうか?有望な方はだれでしょうか。20歳前に4段に上がってくる方はいるのだろうか?加藤九段、谷川九段、羽生4冠クラスの力を持った将来のスター棋士の卵は???などと思うと楽しくなります。渡辺さんはやや止まり気味なのだろうか。佐藤天彦八段は期待できるのだろうかとも思うこの頃です。

投稿: 東京散歩人 | 2015年8月 3日 (月) 13時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/545452/61990449

この記事へのトラックバック一覧です: 通算9期目の名人を獲得した羽生名人の就位式: