将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2014年11月25日 (火)

竜王戦(森内竜王―糸谷七段) 第4局で田丸がニコニコ生放送の解説者

竜王戦(森内竜王―糸谷七段)<br />
 第4局で田丸がニコニコ生放送の解説者

竜王戦(森内俊之竜王―糸谷哲郎七段)第4局が11月20・21日に行われました。私は20日に「ニコニコ生放送」で解説者を務めました。聞き手は中村桃子女流初段。

竜王戦(森内竜王―糸谷七段)<br />
 第4局で田丸がニコニコ生放送の解説者

ニコニコ生放送でのモニターテレビに映った対局光景(左が森内)。

竜王戦は第1局から第3局まで、いずれも角換わり腰掛け銀の戦型でした。森内竜王は第4局で3手目に▲6六歩と角筋を止めて違う戦型をめざしました。第3局までの内容があまり良くなかったので、流れを変える意図だったようです。その後、糸谷七段が中飛車に振ると、森内竜王は玉を銀冠に囲いました。

私はニコニコ生放送で解説の合間に、「森内・糸谷の対戦成績」(3勝3敗の五分)、「竜王戦がタイトル戦初登場の棋士」(糸谷七段は8人目で、過去に島朗九段、藤井猛九段が竜王を奪取)などの記録のほかに、盤外のエピソードも紹介しました。

「森内・糸谷の『将棋年鑑』アンケート」では、2011年の「自分の将棋を動物に例えると」(森内は狸、糸谷はビーバー)、14年の「影響を受けた棋士」(森内は羽生善治、糸谷は山崎隆之)などの設問と回答を引用しました。

森内竜王の「狸」は、相手の棋士をだますというのではなく、状況に応じて臨機応変に指すという意味のようです。糸谷七段の「ビーバー」は、別名が「海狸」なので前記と同じ意味かもしれません。

森内竜王にとって羽生名人は、小学生時代から約35年も一緒に戦ってきた「競争相手」であり「同志」という関係です。糸谷七段にとって山崎八段は、同じ広島県の出身で森信雄七段門下の兄弟子という関係です。

「糸谷哲郎の怪物伝説」では、2006年の18歳の高校生・新四段時代に将棋雑誌などに載ったインタビュー記事を引用しました。「奨励会時代の変わった反則負け」は、自分が取った駒を何と相手の駒台に乗せたことで、対戦相手は佐藤天彦七段でした。「大学の哲学科をめざす理由」は、人生の究極の真理や指針を見つけたいことでした。翌年に大阪大学に入学し、ハイデッガーの哲学を専攻しました。

糸谷七段は新四段時代、恐るべき新人という印象から「怪物」の異名がつきました。その言葉には「常識にとらわれない大胆なことを平然とする実力者」との意味もあります。

私は糸谷七段の竜王戦での戦いぶりと対局姿を見て、タイトル戦に初登場したとは思えないほどの冷静さと、したたかさがあると感じました。第4局はあまり指しつけない中飛車を用いて苦しい戦いとなりましたが、実戦的な指し方で勝負形に持ち込み、最後は時間に追われた森内竜王が寄せを誤って逆転勝ちを収めました。

この結果、糸谷七段は3勝1敗とリードして、竜王獲得まで残り3局のうちあと1勝と迫りました。第5局は12月3・4日に行われます。

ところで今泉健司さん(朝日アマ名人)が臨んでいる「プロ編入試験」の第3局(対戦相手は三枚堂達也四段)の中継をニコニコ生放送で見た《千葉霞》さんから、「2人の男性棋士の解説がプロ側に応援が偏った場面が多すぎだった気がします」という内容のコメント(11月19日)が寄せられました。

ニコニコ生放送のホームページには、第3局の解説者は長岡裕也五段と記載されています(もう1人の棋士は不明)。私はその中継を見ていないので、プロ側に応援が偏った場面が多すぎたのかどうかはわかりません。ただ一般論で言うと、解説者が無意識に一方の対局者に肩入れするようなことは時としてあります。私も竜王戦第4局では、勝負を最終局まで盛り上げてほしいという思いから、森内竜王の勝ちを内心で願っていました。ネット中継の棋士のコメントでも、タイトル保持者や上位者の棋士に対しては、その信頼から4―6の形勢なら5―5、5―5なら6―4と、微妙に評価が高くなるものです。

なおプロ編入試験の第3局の中継に立ち会ったある関係者の話によると、解説者の棋士がプロ側に肩入れするような雰囲気は感じなかったといいます。今泉さんを応援したい人、そのほかの人とでは、見方が違うことはあると思います。

 

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コメント

田丸先生「ニコニコ生放送」で解説、ご苦労様でした。糸谷さんは強かったです。森内竜王の調子が良い悪いの問題ではなく糸谷さんは強いという印象でした。もしかすると渡辺さんの再来というか、竜王獲得八段、防衛九段となりそうな予感すらします。藤井さん、渡辺さんに次ぐ3人目?でしょうか。この新制度(かなり経っていますが)、囲碁のようにどのタイトル挑戦でも七段昇段、獲得九段(少し間をカット)でしたか?将棋も竜王戦以外でもリーグ入り、挑戦、獲得、防衛には昇段を付与することはできないでしょうか。今泉健司さんは残念でした。次局に期待です。プロ側に応援?解説などの全体からですとあのコンピューター対プロ棋士の対局ほどにはプロ側への偏りはひどくはなかったですね。逆に関係者もプロに気を使いすぎて気が付かなかったかも知れません。10の内1つでもそれがあると公平なファンでも「あれっ」なんだとなります。10のゼロでいきましょう。わるぎがなくても「今泉さんならこう指しますよ」となんでもない表現ですが、その時の局面では別な表現があったかもと思う方は多いかも知れません。私自身分かりませんが「そんな」部分、部分ではなかったかと思えます。

投稿: 囲碁人 | 2014年11月25日 (火) 11時43分

田丸先生解説お疲れ様でした。聞き手の中村さんもいい調子で面白かったです。プロ棋士への応援でしたか、あまり気にしないことですね。多少はあるのがあたりまえです。今泉さんは大丈夫かな、今一強くないな。プロ四段陣はまだまだ強さを出していません。プロの門の固いところを見せてください。さて、電王戦ファイナルです。メンバーはまずまずという布陣です。
【電王戦出場棋士】
阿久津主税八段、村山慈明七段、稲葉陽七段、永瀬拓矢六段、斎藤慎太郎五段 今まででは勝ちに行くという意思が一番でている先生方です。ただし、どうでしょうか?ソフトの強さは分かりませんが、谷川会長の一声がなかったのかどうか「羽生さん」やそのクラスは出番なく電王戦は幕となりそうですね。「羽生さん」も朝日新聞のインタビューでは「出る」といっていました。谷川さん次第ではあるとはいいながら。ま出ることもないですが?ただ、今回もぼろ負けされたらどうなるのでしょうか?ソフトも前回やそれ以前のレベルと同じでしたら負けの可能性が大です。頑張ってほしい、プロ棋士!とエールを贈るばかりです。

投稿: 東京人 | 2014年11月26日 (水) 11時55分

今泉アマ編入試験第三局のニコ生解説ですが、長岡先生、山口先生、ゲストで登場した佐々木先生、いずれも良い解説をなさっていたと思います。

そもそも今泉アマは棋士と遜色ない棋力を持っていると解説するプロも解説を聞く将棋ファンも良く知っています。「プロびいきの解説」などする余地も必要もないでしょう。

長岡先生は解説が非常に上手く、素人に将棋を噛み砕いて説明する能力を持っておられます。今度はニコ生のタイトル戦中継を担当して欲しいと思います。

佐々木先生は最初に登場した時は非常に緊張しているのが見て取れました。でも、長岡先生と二人で解説を始めたら立て板に水のようでしたね。さすがは名人候補と呼ばれるだけのことはあります。長岡先生も良い先輩ぶりを発揮していて微笑ましかったです。

投稿: オヤジ | 2014年11月26日 (水) 14時20分

今泉さんのプロ試験での解説で何かあったかのように解説者お二人の助っ人コメントが出てきました。人それぞれの感じ方ですからこれ以上はどちらのサイドのコメントもいらないと思います。田丸先生のコメントを頂いて千葉霞さんからは何もコメントは無く納得のご様子、とにかく概ね好評の解説だったというところですね。田丸先生への「解説登場」へのコメントを聞きたいですね。よかったですよ。長岡先生は米長先生のお弟子さんではなかったでしょうか?新しい名解説者の登場に田丸先生も危機感が??概してプロ棋士の先生方は個性のまま解説をされるので、皆さん上手いです。将棋のプロですから将棋のお話は面白いです。アマに分かりやすい解説も心がけていていいですね。

投稿: 古代子孫 | 2014年11月27日 (木) 12時30分

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