カメラに熱中していた田丸が五段時代の約40年前に撮った棋士たちの写真
「田丸九段がかつて『カメラ棋士』だったことをブログで書いたのを記憶していますが、渡辺淳一さんのポートレートはてっきりプロが撮ったものだと思いました。フィルムは今のデジタル一眼と違って感度が低く、室内でのスナップは容易ではなかったわけですが、見事な『作品』になっていると思います」という内容のコメント(8月8日)は《オヤジ》さん。
写真を誉めていただき、ありがとうございました。私は五段の若手棋士だった約40年前、カメラに熱中していました。主な被写体は対局光景、将棋イベント、棋士の素顔でした。時には巨人軍監督の長嶋茂雄さん、女優の吉永小百合さん、歌手の吉田拓郎さんらが将棋を指す場に居合わせて、貴重な写真を撮る機会がありました。
写真の腕前は、将棋ならアマ初段ぐらいでしたが、自分なりに工夫して撮りまくっていました。作家・渡辺淳一さんの写真(8月7日のブログ)は、ストロボの光を天井に当てて室内の光を全体に和らげる「バウンス」という手法を用いました。将棋でいえば「垂れ歩」の手筋でしょうか。
私の写真については、2011年10月13日・20日・26日・11月9日のブログにも書いたので、参考までに見てください。
今回のブログは、私が約40年前に撮った棋士たちの写真を紹介します。
上の写真は、1975年(昭和50年)の名人戦(中原誠名人―大内延介八段)第1局。対局場は東京・広尾「羽沢ガーデン」で、将棋ファンを招いて対局観戦や大盤解説会が行われました。当時は現代と違って、タイトル戦の公開イベントはとても珍しいことでした。この年の名人戦は大激闘が繰り広げられ、中原名人(左)が4勝3敗1持将棋で辛うじて防衛しました。※棋士の肩書はいずれも当時。
東京・日本橋の東急百貨店で開催された将棋イベント。マイクを持って席上対局を解説するのは升田幸三九段。通常は大盤の脇に立って解説しますが、足の具合が良くないとのことで客席側の椅子に座りました。それにしても、升田九段の解説を間近で聴けた将棋ファンは貴重な経験だったでしょう。なお升田の右から2人目は森雞二七段。
将棋関係者が集まったゴルフコンペに、大山康晴十段(右)が参加しました。受けの達人らしく、ゴルフでも難所を切り抜ける「リカバリーショット」が得意でした。
関西に遊びに行ったとき、森安秀光五段(右)と淡路仁茂四段に神戸の街を案内してもらいました。スナックで飲んだ後、元タカラジェンヌが経営する小料理屋で「明石焼き」を食べたのが懐かしい思い出です。
千駄ヶ谷の将棋会館の向かいにある鳩森神社の「富士塚」に上った青野照市四段。名人への高みをめざす心意気だったのでしょう。
奨励会の桐谷広人三段。当時は成績が芳しくなく、いつも悩んでいる様子でした。今では多くの「株主優待銘柄」を利用して生活する様子がバラエティー番組で取り上げられ、タレントのような人気者になっています。
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コメント
モノクロギャラリーいいです。懐かしい風景が生きているようです。王位戦第五局は羽生さん強かったですね。この挑戦手合も20年位経つと「いい写真」になるのですね。先生のフォトブックはたくさんの名場面、名ショットで溢れているのでしょうね。その場にいられる人しか撮れない瞬間映像を楽しみにしています。宜しくお願いします。
投稿: 千葉霞 | 2014年8月30日 (土) 13時45分