ニコニコ生放送、田丸の著書、26年前のNHK杯戦、女流問題のコメントについて
「ニコニコ生放送で田丸九段が解説していたなんて知りませんでした。見たかった。誰かも言ってましたが、引退するまでにNHK杯戦で田丸九段を見たいな」というコメント(1月22日)は《ぱちょり》さん。
私は昨年、名人戦(森内俊之名人―羽生善治三冠)第3局と竜王戦(渡辺明竜王―森内俊之名人)第3局で、ニコニコ生放送の解説者を務めました。いずれも指し手があまり進まない1日目だったので、主に名人戦と竜王戦の歴史と雑学、両対局者のエピソードなど、盤外の話を紹介しました。視聴者には好評だったようです。今年の名人戦(森内名人―羽生三冠)でも、ニコニコ生放送で解説者を務める予定です。
私がNHK杯戦で最後にテレビで対局したのは1999年でした(1回戦で鈴木大介六段に敗戦)。それ以来、予選でずっと敗退しています。今年も金井恒太五段に敗れました。本戦に進出するには、予選で若手棋士たちを相手に3連勝しないといけません。2年後に引退するまで、たぶん無理だと思います。
「田丸九段の『振り飛車破りユニーク戦法』と『将棋界の事件簿』はサイン本で購入することは可能でしょうか」というコメント(2月4日)は《将丸》さん。
私の著書の『振り飛車破りユニーク戦法』(創元社)と『将棋界の事件簿』(マイナビ)は、いずれも2005年に刊行されました。現在では、前者は書店にあまり出回っていません。後者は絶版となりました。私の手元にも在庫はありません。したがってサイン本は残念ながら難しい状況です。
「1988年の7月か8月に放送されたNHK杯戦の田丸昇七段と宮田利男六段の将棋を見たくて、『将棋の棋譜でーたべーす』で調べてみましたが載っていませんでした。テレビで見たのは中学生の頃で、その将棋は今でも鮮明に覚えています。田丸七段は守らないで攻めまくった将棋で、解説者の棋士が《これはさすがに受けるでしょう》と言った局面ですら受けず、苦笑いしていた記憶があります。そのくらい突っ張った内容でしたが、田丸七段が勝ちました。その将棋について教えてください」という内容のコメント(2月22日)は《たけと》さん。
26年前のNHK杯戦・田丸七段―宮田六段の対局ですね(7月17日に放送)。当時の『NHK将棋講座』で調べてみました。相矢倉の戦型から攻め合いになり、形勢不明の局面が続きました。そして終盤で、私が詰めろ逃れの詰めろの▲5四角の攻防手を放って勝ち筋となりました。だから、私が一方的に攻めて勝ったという内容ではありません。なお解説者は真部一男八段でした。
「田丸九段は女流騒動のことをどうお考えでしょうか。女流問題は田丸九段が間に入って連盟での統一を図られてはどうでしょうか。お願いします」というコメント(2月28日)は《古代子孫》さん。
女流棋士の団体が将棋連盟とLPSA(日本女子プロ将棋協会)に分かれたのは7年前の2007年でした。それに至った経緯については、私はよく知りません。両団体が普及活動を競い合って将棋界の発展につながれば理想的ですが、現実には反目し合う状況になりました。以前にこのブログで書きましたが、「○○◆◆☆☆会社」という社名があるように、現代は大手の会社同士が合併して資本力や国際競争力を高める時代です。経済規模が大きくない将棋界の中で、特殊な存在である女流棋界が2団体に分かれているのは、時代に逆行していると思います。私は連盟とLPSAの関係が悪化したとき、フリーの立場で仲立ちをしてみようと思ったことがあります。しかし簡単に解決する問題ではありません。理屈ではない感情的なしこりが残っているからです。
LPSAは先日、執行部が一新しました。今後は、連盟との関係は良好になることでしょう。そして、いつの日か「元の鞘に収まる」ことが望ましいと、私は個人的に思っています。ただし、何事にも時節の到来というものがあります。それを待ちましょう。
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コメント
五平餅さんの意見はどうかな?田丸先生が柔らかくコメントされているのにLPSAが悪で締めくくりはないでしょう。中井さんも米長先生、田丸先生と同じ一門だったのだから時の解決を待たなくてはナラナイホドノ何か課題があったのだと思うべきで、断はまだくだせないのではないでしょうか。確かに今は女流をゆるきゃらのように使いだして目に余るところもありますが、前に出して認知度をあげたり、女流対局に高段者(7段以上の)を立会人、大盤解説に男性人気棋士をあてるなど女流を盛り上げていく姿勢が見られるのはいいですね。子供の付添は母親が多いと聞いていますので(羽生さんもそうでした)、女流を大事にしていくのは別の角度から見れば将棋の発展には強い味方となります。男尊女卑はそろそろやめましょうですね。アマチュアで女流に勝てる人ってあまりいないでしょう。女流!強いですよ。応援してはどうですか?(応援はしているよと怒られそうですね!)
投稿: 千葉霞 | 2014年3月11日 (火) 10時41分
林葉さん気の毒ですね。このような場でお話し載せるものではありませんが、将棋は強かった方ですね。スキャンダルでしたね。中△先生でした。恥ずかしい記者会見をしていたのを思い出しました。それからの転落というか追放でしたね。古い世界の象徴でした。棋界の太陽を守るべく捨てられたのも女流棋界の宝でした。今後の林葉さんへの扱い方次第では日本将棋連盟の信が問われそうです。大事にしてあげてください。
投稿: 東京散歩人 | 2014年3月14日 (金) 12時51分
ご返答いただきましてありがとうございました。時期的には近いのですが…26年前のNHK杯戦・田丸七段―宮田六段の対局ではなかったかもしれません(汗)その対局、田丸先生は矢倉ではありませんでした。勝敗は僅差でしたが…田丸先生は殆んど受けず、かなり『突っ張った』将棋でした。26年より…もう少し前だったかもしれません。
追伸…『突っ張り流 実践次の一手』をヤフーオークションで手に入れました。
投稿: たけと | 2014年3月14日 (金) 15時32分
電王戦始まりました。3回目です。でも何か残念です。女流と公式に対戦した時と同じ敗戦の弁が多いですね。「緊張、プレッシャー、実力の半分も出ていない」等。コンピューターの力は上がっていますよ。放送中のコメントにもありましたが、トッププロのデーター、レジエンド棋士のデーター、その他ほとんどを網羅していますので、さらには応用もできているようです。プロ棋士の方は「大山、中原、米長、羽生、渡辺、森内、田丸」といった先生らの最強時代と対戦していると思って対戦してほしいです。ソフト棋士のプロリーグ戦参加も要求されそうです。またプロ段も差し上げる覚悟が必要かも知れません。危機感大ありでしょうか。
投稿: IT男 | 2014年3月16日 (日) 18時50分