将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2013年11月30日 (土)

竜王戦(渡辺竜王―森内名人)第5局で森内が勝って2期目の竜王獲得

第26期竜王戦(渡辺明竜王―森内俊之名人)7番勝負の第5局が11月28日・29日に富山県黒部市「宇奈月温泉 延楽」で行われました。3勝1敗とリードした森内が勝って10期ぶりに竜王を獲得するか、渡辺が踏み止まるかという一戦でした。

今期の竜王戦は第1局から第3局まで、矢倉模様から後手がいずれも積極的に動き、両者は先手・後手で入れ替わりながら同じ戦型を採りました。

第5局は通常の相矢倉でした。先手の森内が指した59手目の局面まで第4局と同じ手順が続き、後手の渡辺がその局面で手を変えて違う展開になりました。

居飛車党同士の将棋では、矢倉・角換わり・横歩取りの同じ戦型で先手・後手を持ち合うことはありますが、タイトル戦の7番勝負でこれほど続くのは珍しいです。

現代のプロ棋士の対局は研究合戦みたいなところがあり、今期の竜王戦もそんな感じでした。相手の注文に逃げていられるか、やられたらやり返せという「半沢直樹」のような思いもあったかもしれません。

第5局は1日目に指し手がどんどん進み、封じ手の局面はもう終盤でした。2日目の29日は全国各地で解説会が開かれるので、あまり早く終わったら困るだろうなと思いました。しかし夕方に生中継されたNHK衛星放送の将棋番組が終わっても、終盤の難しい攻防が繰り広げられました。そして森内は渡辺の攻撃を押さえて反撃に転じると、鋭い寄せで相手の玉を仕留めました。

森内は第5局で渡辺に勝ち、10期ぶり2期目の竜王を獲得しました。渡辺は2004年に森内から竜王を獲得して以来、竜王戦で防衛をずっと重ねてきましたが、10連覇は成りませんでした。

森内は2004年に次いで、竜王と名人を保持しました。同じ例は、羽生善治三冠(1994年)と谷川浩司九段(1997年)がいます。

私は竜王戦第3局・1日目の11月7日に「ニコニコ生放送」で解説者を務めたとき、両対局者のエピソードや竜王戦の雑学をクイズで出しました。

そのひとつが、竜王戦のタイトル戦で最も多く対局場になった山形県天童市「ほほえみの宿 滝の湯」です。第2期以来、合計で14局を数えます。対局室の名称も「竜王の間」です。ミス山形にも選ばれた美人女将の宿としても有名です。その娘さんも美しく、以前にある棋士とのロマンスも噂されました。「滝の湯」は竜王戦第6局の対局場に予定されていましたが、第5局で終了したことで行われませんでした。

7番勝負のタイトル戦では、後半の第5局以降の対局が勝敗によって行われないことがあります。対局場側が準備万端整えて待ち受けていても、こればかりはしかたありません。なお対局が行われない場合、主催者からのキャンセル料の支払いはないそうです。ただ次期以降のタイトル戦で、見返りとして第4局以前の対局場に当てられることがあります。

2011年の名人戦(羽生名人―森内九段)は、森内が3連勝の後に羽生が3連勝しました。森内は第5局以降の対局場で「よく来ていただきました」と感謝され、複雑な気持ちになったそうです。

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コメント

今期の竜王戦は森内名人の強さが光りましたね。

長い間、竜王といえば渡辺明プロと思っていましたが

新しい時代を、年長者が創ったというのが新鮮な感じがします。

田丸先生、またニコニコ生放送に出てください。

投稿: 五平餅 | 2013年12月 5日 (木) 15時18分

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