将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2013年8月 6日 (火)

北海道・層雲峡での王位戦( 羽生王位―行方八段) 第3局で行方が初勝利

北海道・層雲峡での王位戦(<br />
 羽生王位―行方八段)<br />
 第3局で行方が初勝利

北海道・層雲峡での王位戦(<br />
 羽生王位―行方八段)<br />
 第3局で行方が初勝利

北海道・層雲峡での王位戦(<br />
 羽生王位―行方八段)<br />
 第3局で行方が初勝利

王位戦(羽生善治王位―行方尚史八段)第3局が7月29日・30日、北海道・上川町「層雲峡 朝陽亭」で行われ、私こと田丸昇九段が立合人を務めました(副立合人は中座真七段)。

王位戦の関係者一行は28日に羽田空港から旭川空港に向かい、対局場に入る前に大雪山国立公園を代表する景勝地の層雲峡を観光しました。

写真・上は、断崖絶壁が20キロ以上も続く層雲峡。約3万年前に大雪山が形成される過程で中央火山が大噴火を起こし、堆積物が石狩川をせき止めて150〜200メートルの高さにそびえました。その後、1万年以上の年月をかけて、四角または六角の断面を持つ「柱状節理」が形成され、石狩川の侵食を受けて巨大な層雲峡渓谷ができたのです。

写真・中は、流星の滝を背景に記念撮影に収まる羽生王位(左)と行方八段。第3局を主管した北海道新聞の記者から感想を求められると、羽生は「壮大で立派な滝です。気持ちを新たにして対局に臨めます」、行方は「とても素晴らしい景色で、滝に心を洗われました」と語りました。

私は前夜祭で次のように挨拶しました。
「羽生さんはタイトル戦の対局で全国を転戦していて、対局日程はかなり過密です。しかし日頃から健康管理に努めているので、ずっと活躍し続けています。行方さんは最近、公私ともに充実していて、将棋の内容も良いです。この王位戦は2連敗していますが、ひとつ勝てば勝負の流れは変わります。蒸し暑い東京に比べると、北海道はとても涼しくて過ごしやすいです。対局者は良い環境で力いっぱい戦えると思います」

将棋は先手番の羽生が主導して相矢倉となり、双方の角が四段目で向かい合う「脇システム」という戦型に進みました。羽生は封じ手に2時間24分も考え、2日目は前例がほとんどない激しい戦いに突入しました。中盤では駒得をした羽生が有利に思えました。しかし行方が終盤で意表をつく寄せの一手を放って羽生の玉を追い詰め、羽生の反撃を振り切って初勝利を挙げました。

初めてタイトル戦に登場した行方は、盤側から見てかなり硬い表情でした。第3局を負けたら後がないという悲壮感が漂っていました。それだけに、この1勝は大きかったと思います。感想戦での行方は高揚した様子で、いつもの「なめちゃん」のように歯切れの良い口調でした。

じつは、羽生が初めてタイトル戦に登場した1989年の竜王戦(島朗竜王―羽生六段)第4局も、王位戦第3局と同じ対局場でした。竜王戦はその時点で、島が2勝1持将棋とリードしていました。しかし羽生が第4局に勝って初勝利を挙げると、さらに巻き返して4勝3敗で竜王を奪取したのです。

羽生―行方の王位戦は、24年前の竜王戦と同じような戦況になっています。今後の展開に注目したいと思います。

写真・下は、現在発売中の『将棋世界』9月号の付録「将棋クイズ123」の表紙。棋戦と記録・格言と用語・棋士の裏話・将棋の歴史・将棋と文化・将棋の雑学など、私が6分野にわたって123題のクイズを出しました。将棋の知識力や雑学に詳しくなると、さらに将棋を楽しめます。ぜひ読んでもらえるとうれしいです。

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コメント

猛暑が続きますが、田丸先生お元気にお過ごしですか?

王位戦第3局、さすがは北海道、涼しそうな写真ですね。

「将棋クイズ123」面白かったです。

最近は特に女性に「見る将棋ファン」が増えているそうですが
ファンの多様化は将棋界にとって好ましいことですね。

暑さに負けずご活躍ください!

投稿: 五平餅 | 2013年8月10日 (土) 15時57分

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