田丸が議長を務めた今年6月の将棋連盟総会の模様
私のパソコンに不具合が生じたために、このブログの更新を休止していましたが、新しいパソコンを立ち上げましたので1ヶ月ぶりに再開します。
公益社団法人・日本将棋連盟の今年の通常総会が6月7日、東京の将棋会館に隣接する「けんぽプラザ」で開かれました。東京将棋記者会の要請によって、昨年から総会の模様を開会から閉会まで報道陣にすべて公開しています。
写真・上は、会場の光景。224人の会員(現役棋士・引退棋士・女流棋士)のうち、約7割の棋士が出席しました。
冒頭で連盟会長の谷川浩司九段が挨拶した後、私こと田丸昇九段を議長、浦野真彦八段を副議長に指名して承認されました。
写真・下は、前列の右から、専務理事の田中寅彦九段、谷川会長、田丸議長、浦野副議長など。後列は、ほかの理事と監事。※写真はいずれも「週刊将棋」撮影。
総会で議長の指名は会長の専権事項です。年輩棋士と中堅棋士、関東棋士と関西棋士、という組み合わせで決めるようです。
私は1990年代後期に副議長を4回務めました(議長はいずれも桐山清澄九段)。初めて議長を務めた2006年の臨時総会は、名人戦の主催者をめぐって毎日新聞社か朝日新聞社かで揺れ動いた時期で、とても緊迫感がみなぎっていたものです。
総会の議事は新会員紹介(5人の新四段)から始まり、全員が前に出て自己紹介しました。中でもユニークだったのは石田直裕四段で、「私は北海道出身なので、プロ野球は日本ハムファイターズのファンです。とくに投手と野手の二刀流で注目されている新人の大谷翔平選手を応援しています。私も、対局と普及の二刀流で頑張りたいと思っています」と力強く語ると、先輩棋士から喝采を浴びました。最近の若手棋士は言動がしっかりしていて、とても頼もしいと私は思いました。
その後、各理事の報告、事業書と決算書の承認、監事の報告、5月の予備選挙で選出された12人の新理事(5人の非常勤理事を含む)と2人の監事の承認と、議事は円滑に進行していきました。
対局規定が一部改定されました。対局に遅刻した場合の新しい罰則、持将棋模様の局面での「宣言法」の導入、対局での電子機器の取り扱い、などの案件が承認され、今年10月から暫定的に実施することになりました。
遅刻の件を説明しますと、持ち時間が6時間の順位戦の場合、最大で1時間59分も遅刻しても、残り3分で対局できます。しかし待たされた対局者の精神的ダメージが大きく、前から問題になっていました。ほかの競技と比べて甘いという指摘もありました。新しい罰則は、持ち時間にかかわらず最長1時間で不戦敗となります。なお交通機関の事故や天災による遅刻は、別の規定があります。
昨年は最後の議題の一般質問で、会長の米長邦雄永世棋聖に対して批判的な棋士から厳しい発言が相次ぎ、それに激昂した米長が反論して、やや騒然となりました。
今年はある棋士から不穏当な内容の発言が出たとき、議長の私は「それは個人的な問題のようなので、後で担当理事と話し合ってください」と言って、その場を収めました。
今年の総会は、午後1時の開会から1時間半ほどで閉会となりました。議長の私は、議事を円滑に進行させて職責を果たしました。なお例年の閉会は4時頃で、昔は紛糾して深夜に至ったこともありました。
その後、新理事の互選によって谷川会長が再任され、新体制の陣容が発表されました。
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コメント
田丸先生、新しいパソコンへの移行お疲れ様でした。私はパソコンには強い方と自負していますが、パソコンがクラッシュするほど恐ろしいことはないですし、新しいパソコンを使えるようにするのは本当に面倒ですよね。
さて、総会が無事に終わったようで何よりです。田丸先生は名議長のご様子ですね。議長、副議長の選定については全く知りませんでしたので勉強になりました。田丸先生が副議長を何度か務めた時、議長は全て桐山九段だったというのは興味深いです。
投稿: オヤジ | 2013年7月 6日 (土) 21時37分
田丸先生議長お疲れ様です。例年16時で終わるところを15時までに終わらすのはさすがの手腕です。
石田直裕先生は相変わらずだな(笑)。彼らしいといえば彼らしいけど。真面目なんだがこういう機転の利かせ方が上手い。
持将棋模様の局面での「宣言法」の導入についてですが、どういう風に宣言するのか教えていただきたいと思います。
王位戦第3局は田丸先生の立会人で、現地に観戦行きますのでどうぞよろしくお願いします。
投稿: 深田有一 | 2013年7月 8日 (月) 21時57分