森本レオさんと森田正光さんが東京の「将棋サロン荻窪」で久しぶりの実戦
私は将棋愛好家である俳優の森本レオさん、お天気キャスターの森田正光さんを誘って、4月に東京の「将棋サロン荻窪」に顔を出しました。
写真・上は、森田さん(中)の将棋を観戦する森本さん(左)。森田さんの対戦相手の女性は、二段の棋力があるAさん(右)。
写真・中は、芸能界きっての強豪である森本さん。四段の人と対戦して勝利を収め、満足そうに微笑みました。ドラマの役柄そのままに、ほのぼのとした雰囲気があります。
Aさんの四間飛車に対して、森田さんが居飛車穴熊に組んだ将棋は、見応えのある大熱戦となりました。終盤でAさんが即詰みで勝つ順が2回ありましたが、惜しくも逃して森田さんが勝利を収めました。
将棋の盤上と天気図はともに縦横に線が通って似た形をしていますが、森田さんは天気予報のような具合に将棋の手をなかなか読めないようです。
写真・下は、左から森本さん、森田さん、Aさん。勝っても負けても、全力で戦ったときは爽快な気分になるものです。3人の笑顔がそれを物語っています。
森本さんと森田さんは、ともにアマ四段の棋力があります。ただ最近は将棋を指す機会が少ないそうで、久しぶりの実戦に楽しそうでした。
30年ほど前の将棋雑誌を見ると、将棋クラブの広告が数多く載っています。しかし入場者の減少、ネット将棋の広まり、売り上げに見合わない高い賃料などの事情によって、将棋クラブの経営が難しくなっているのが実情です。以前に比べると、将棋クラブはかなり減っています。
そんな状況において、15年以上にわたって頑張っているのが東京の中央線・荻窪駅北口の近くにある「将棋サロン荻窪」です。
じつは2年前まで2駅となりの吉祥寺で営業していましたが、経営難によって閉店しました。その後、経営者の新井敏男さんは再開を望む多くの人たちの声に応えて、荻窪に新規開店したのです。ゆったりとした30坪の広さと明るい照明はとても居心地が良く、吉祥寺時代の常連客に加えて子どもや女性を含む新しい人たちで賑わっています。
この将棋サロンで長年にわたって教えている師範の谷川治恵女流五段の指導対局(毎月2回)は、とても丁寧で好評です。また、豊川孝弘七段もたまに指導しています。
新井さんは棋士をめざす奨励会員に対して理解があり、将棋サロンを研究の場に提供しています。奨励会員、女流棋士、研修会員らが毎日のように来て、将棋を指したり研究に励んでいます。私の弟子の井出隼平三段(21歳)、近藤祐大4級(15歳)もここで育ちました。また、若手棋士もよく顔を出します。
最近は、ネット上で将棋を指したり、将棋ソフトと指す人が増えています。確かに、場所や時間を気にしないで指せる利点があります。しかし、人間同士が頭を突き合わせて指す「生将棋」も楽しいものです。将棋クラブはそんな人たちが集う触れ合いの場であり、棋力も向上します。ぜひお近くの将棋クラブに行って指してください。それが将棋クラブの存続につながるのです。ご協力をお願いします。
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コメント
田丸先生のおっしゃる通り将棋は人と人がまさしく差し向かいで指すものです。
今から30年ほど前、会館道場で小学生と対局しました。
当時の私は20歳前後で棋力は生涯最高の頃。
子供相手に大人気ないが本気でやってやろうかなどと思って対局。
しかし平手でコテンパンに負け、角落ちでも一蹴され、「お兄ちゃんほんとに有段者?」とその小学生に言われてしまい岐阜の田舎で強いと思い上がっていた自分の鼻をへし折られました。
岐阜にはこんな強い小学生はいなかったぞ・・・。どんなに年齢差があろうとも対戦できるのが将棋のよさです。ネットではこうは行きません。
ちなみにその小学生、丸山忠久君は、翌年中学生名人戦で優勝したので負けたのはしょうがないと負け惜しみを言っていたものでした。
将来名人位に就くような人と対局できたのは道場で指したからこそ。本当に良い思いでです。
投稿: | 2013年5月24日 (金) 23時18分
森本さんには、田丸先生に二枚落ちで教えていただいたころに西荻の喫茶店や呑み屋さんで教えていただきました。酒が入ると意外と男臭い一面があって、いっそうファンになりました。その後、大病を患われとても心配していましたが、全快されたご様子でとてもうれしく思います。最近はもっぱらネットオンリーで、人と向き合って指す道場などでの実践はほぼ皆無。実に情けない思いです。
投稿: ヨシザワ | 2013年5月25日 (土) 19時46分
将棋サロン荻窪は席主のご人徳もあって、すこぶる評判が良いですね。
プロ棋士や奨励会員が一生懸命勉強している姿もみられます。
私も久しぶりに行ってみようと思います。
投稿: 五平餅 | 2013年5月28日 (火) 18時26分
こんばんわ。以前も見ましたが、盛況のようですね。
森田さん、森本さんの将棋好きは伺っていますが、私が感心したのは二段の棋力を持つ女性・Aさんです。
さすがに名前を公表したくないからでしょうけど、写真が出たら知っている人は知っているわけで、彼女の勇気に感心しました。
と、言いますのも、将棋を楽しむ女性は『将棋女子』なんて言われていますが、『囲碁ガール』と違う点は『男性と対局・対談・交流をしない』ということです。
囲碁ガールは自分達から積極的に行動します。
昨年の『ペンクラブ東京交流会』でも多くの将棋女子が来ましたが、男性の間に『見えない壁』をつくり、女性トークに没頭していました。
こうしたケースは関東、東海、関西でもよく出ていて、『これじゃあ、若い男女が将棋を通じて交流、恋愛、結婚に発展する事はないな』と思いました。
『将棋を指していたら、男が近づいてきて、口臭を撒き散らしながら口出ししたり、黙ってジロジロ見てくる』
『おじさんが、将棋に関係ない話をして、ナンパしてくる。』
『連盟や道場の人たちも、そんな男、見てみぬ振りをしていて、とても将棋を楽しめる雰囲気じゃない』
過去に聞いた、女性たちの言い分で、その影響からか『女性専用大会・女性専用イベント』には来客は多くても、ほか(道場・イベント・大盤解説会)に女性の姿は無いとか。
その点、Aさんの行動は立派で、いずれ湯川恵子さんのように男性たちに立ち向かいドンドン男性を負かしていってほしいものです。
連盟もAさんのような女性を増やすため『道場・イベント・大盤解説会の環境改善、女性が安心して楽しめること、男性には礼儀と理性を持たせること』これらの呼びかけが急務でしょう。
それをいつやるのか?『今でしょ!?』
投稿: S.H | 2013年6月 2日 (日) 00時51分
S.Hさんのご意見には蒙を啓かれました。
私は、残念ながら将棋道場で指した経験はないので大きなことは言えませんが、特に関西では「将棋道場は若い女性が立ち入れる環境ではない」という現実があるとか聞いています。S.Hさんがおっしゃるような事実があり、女性への普及への妨げになっているのでしょうね。
私は、タイトル戦の現地大盤解説会に何度か行ったことがありますが、来ている人は、私も含め「オッサン、爺さん」が多数でした。若い女性は数えるほどでした。ただ、将棋ファンのマナーは世間並み以上の水準に達している、という感じは受けております。
「先ず隗より始めよ」ということで、東京と大阪の両将棋会館の道場、連盟直営の新宿将棋センターを、女性が安心して将棋を楽しめる場所にするのが第一であり、それをするのは『今でしょ!?』ということなのでしょうね。
投稿: オヤジ | 2013年6月 3日 (月) 20時03分
オヤジさんのご意見に、感謝・感激です。
。
、隗より始めよ、は『ごもっとも』と思いました。
。
。
しかし、難しい言葉をご存知なんですね
『蒙を啓く(もうをひらく)』・・・啓蒙(けいもう)のことで、『道理を教え導く』。
『まず隗より始めよ』・・・(中国故事より)まず言い出した者が着手すべき。
(広辞苑で調べました・・・無学ゆえ)
蒙を啓くには、照れましたが
こういう事態の一因に『昔の考え方がいまだこびりついている』と言えます。
男尊女卑・お客様は神様です・利益重視・・・こうした『高度成長期時代の考え方』が、将棋界にも悪影響を及ぼしています。
今でこそ男尊女卑なんて考えはありませんが(訴えられます)、やはり将棋界は男性社会でしたから、女流棋士が出るまで『女性は将棋をやるものじゃない』と言う意見が多く、女流棋士が出たら、その美貌目当てで、将棋を通じて女性と知り合ったことのない男性(しかも身だしなみが、できてない)が押しかけてくるのです。
そうして女性への普及が遅れに遅れ、やっと根付いたかと思えば、前回私が述べた、男たちの行動により、女性達が遠ざかり、将棋界関係者らも『お客様は神様です・ファンあってこその我々です』と言う気持ちがいつまでもぬぐえないので、取り締まることができず、今日(こんにち)の状態を招いているのです
いつまでも明治・大正・昭和初期の棋士達の思い出にしがみつき、環境改善できないようでは『今後の将棋界に未来は無い』と言っても過言ではありません。
女性が楽しめないところに若い男性も来ませんし、やがて上の世代がいなくなったあと、今の10・20・30・40代らが将棋を続けていくでしょうか?
スポンサーも今の役員が定年退職したあと、次の役員がお金を出すでしょうか?
『オッサンしか集められんところに用は無い』と言われたら、もう終わりです。
『女性普及』とは、単なる色気目当てではありません。
『将棋界の未来のため』と考え、今後の課題とし、皆で協力し合って、行動していくべきだと思います
投稿: S.H | 2013年6月 5日 (水) 16時24分