10月21日の「将棋文化検定」を受検した森内名人、深浦九段らの感想と結果
10月21日の「将棋文化検定」は東京・名古屋・高崎・大阪の計6会場で開催されました。検定試験の後は、受検した棋士によるトークショーが各会場で行われました。
写真・上は、東京の会場(調布市の明治大学付属高校・中学)のトークショーの光景。右から、山田久美女流三段、森内俊之名人、深浦康市九段。いずれも4級を受検しました。
写真・下は、トークショーの会場。約400人の受検者が参加しました。
森内名人、深浦九段、山田女流三段が検定試験の感想を語ったトークショーの模様をお伝えします。なお、一部の問題以外はすべて三択問題です。
「年号の問題が難しかったです。半分は山勘で解きました」(森内)
「『将棋世界』の付録(9月号の将棋文化検定の模擬問題集)を読んで勉強しましたが、かなり難しかったです」(深浦)
「『将棋年鑑』『将棋世界』の付録、『将棋手帳』の記録欄を読んで勉強しましたが、予想した問題が少なかったです」(山田)
「将棋の原型(チャトランガ)というゲームの駒の種類の問題は、6種類と答えました」(森内)
「私も6種類と答えました。将棋の駒は8種類で、それから桂香を引けば6種類と考えたんです」(山田)
※正解は、歩・車・馬・象・王の5種類。
「江戸城での御城将棋の部屋の問題は、《松の間》と答えました。忠臣蔵のドラマの中で《刃傷 松の廊下》という場面があるので、それを連想したんです」(深浦)
「でも、それは部屋ではなくて廊下でしょ。私は《黒書院》と答えました。《白書院》かどうか迷ったけど、将棋の対局なら黒かと」(山田)
※正解は、黒書院。江戸時代に家元の棋士たちは、毎年11月17日に将軍の御前で将棋を披露するのが恒例の行事でした。
「明治41年に棋戦を最初に主催した新聞社の問題は、《時事新報》と答えました」(森内)
「私もそう答えました」(深浦)
「ほかのヒントが《萬朝報》と《都新聞》。私は《萬朝報》と答えましたが、何と読むんですかね」(山田)
※正解は、萬朝報。山田の疑問について、会場から「よろずちょうほう」という声がありました。「よろず重宝します」という言葉から付けられた社名だそうです。
「将棋会館が近い千駄ヶ谷駅の構内にある《王将》の石碑の場所の問題(9級)は、私たち東京の人はわかりますが、ほかの地域の人はわかりますかね」(山田)
「大阪の人は怒っているかもしれませんね(笑)」(深浦)
※正解は、《水飲み場》。ほかのヒントは《自動販売機の横》《改札口の辺り》。
「私は健康診断の結果を待つような心境です。5割以上は正解だと思います」(山田)
「試験を受けるのは10年前の運転免許以来です。何でも試験で落ちるのはうれしくないですね」(森内)
「私は成績が非公表というので受検しました。予想点数は60点。試験を受けるのは28年前の奨励会入会試験以来です」(深浦)
「来年も受検しますよね。森内さんは名人なので、2級ぐらい受けないと」(山田)
「記述式の問題が出る2級で、漢字を書けずにひらがなだと恥ずかしい(笑)。まあ来年も名人だったら受けますよ」(森内)
棋士たちの本音が出たトークショーでした。なお、3人とも4級を合格(基準点は100点満点で70点以上)しました。
来週発売の『週刊将棋』(12月19日号)では、私が不定期連載している「丸の眼」で将棋文化検定の経緯や詳しい受検結果を書きました。
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コメント
田丸昇先生、
昨日、「将棋文化検定」の件でお電話頂きました、
酒井康雄と申します。
昨日は突然のお電話に驚いてしまい、
失礼な対応があったかと思いますが
ご容赦願えればと存じます。
息子の高行は田丸先生から「週刊将棋」の取材を
頂けたことに、とても感動しておりました。
改めまして、御礼申し上げます。
まだまだ子供ですが、将棋への興味は
尽きないようです。
「週刊将棋」の記事を楽しみに
待たせて頂きます。
今後とも宜しくお願い致します。
酒井康雄
投稿: 酒井康雄 | 2012年12月16日 (日) 13時37分
田丸先生の兄弟子である米長邦雄永世棋聖が、前立腺癌の為、12月18日に他界されました。
さぞかし今、佐瀬門下の方々は、故人をお見送りする準備に追われていることでしょう。
そんな最中に、ブログの更新を待ち望んでいる自分自身に嫌悪を感じるばかりです。
田丸昇・獅子丸・ロン毛丸・ライオン丸先生は、米長会長の遺志を継いで、将棋というゲームで青少年を健全に育成し、日本将棋連盟を活気付けるべく、対局・指導普及に精力的に取り組むであろうと信じて止みません。
投稿: 柳 | 2012年12月20日 (木) 05時24分