東京の将棋会館の地下は昨年から「銀河戦」などの番組の収録スタジオ
東京・千駄ヶ谷の将棋会館は、1階が売店、2階が将棋道場、3階が将棋連盟の事務局、4階が公式戦の対局室、5階が対局室や宿泊室などに当てられています。
地下は昨年から、ケーブルテレビやCSチャンネルで放送している「囲碁・将棋チャンネル」の将棋専用のスタジオに改造されました。ここで公式戦の「銀河戦」をはじめに、名勝負の解説、講座、情報番組など、将棋番組を収録しています。
以前は会館の5階の部屋を改造して、銀河戦などの番組を収録していました。現在もその設備は残っていて、タイトル戦などを解説する「ニコニコ動画」の生中継に使っています。また、携帯電話やスマートフォンに公式戦の棋譜を配信する「モバイル将棋」の中継本部も5階にあります。
写真・上は、7月下旬に放送された「お好み将棋道場」の番組の対局光景。佐藤秀司七段(右)に精神科医の曽根維石さん(左)が飛車落ちの手合いで挑みました。
写真・中は、大盤解説をする部屋。私こと田丸昇八段(右)が佐藤―曽根戦の解説を担当しました。聞き手は本田小百合女流二段(左)。写真の手前側に、盤面を撮った画面と、放送中の画面が映し出され、それを見ながら話を進めていきます。
この飛車落ち戦は終盤で7筋に「駒柱」が出現し、私と本田女流は顔を見合わせて驚いたものです。駒柱とは、実戦で同じ縦の筋に双方の駒が一直線に並ぶめったに現れない局面の形です。私の場合、40年以上にわたる公式戦で1回あったかどうかの頻度です。なおこの飛車落ち戦は、熱戦の末に下手の曽根さんが勝ちました。
写真・下は、番組の進行に携わる副調整室。ここで対局・大盤解説・盤面の画面を状況によって切り替えます。
地下のスタジオには収録中の番組をモニターテレビで生で見られる控室がありますが、手狭なので一般の人には公開していません。
36年前に将棋会館が新しく建設されたとき、レストラン「歩」が地下で開業されました。新宿のある和食料理店のスタッフが厨房に入り、手頃な値段で美味しい料理を出しました。「王将弁当」「飛車角弁当」というメニューもありました。4階で行われている対局は食堂のテレビに映り、観戦しながらお酒と食事を楽しむ人もいました。また棋士がよく顔を出したので、それを楽しみにする人もいました。
ただ千駄ヶ谷の将棋会館がある場所は文教地区で、原則として飲食店は営業できません。関係者用の食堂として認可されました。そんなこともあり、営業的に難しかったようです。約15年前にレストランは閉店となりました。
その後、会館の地下は「将棋世界」「将棋年鑑」や書籍を発行する連盟出版部の事務室に改造されました。2001年(平成13年)から将棋世界の編集長を2年ほど務めた私は、毎週のように通ったものです。
連盟は5年前に出版部のすべての業務を、「週刊将棋」の編集に携わる毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に委託しました。その関係で地下はしばらく空室になっていましたが、昨年に銀河戦などの番組の収録スタジオに変わりました。
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