将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2012年7月28日 (土)

7月16日のブログ「公式戦の記録係の要員が不足している状況で提案された今後の対策」の再掲載

7月16日に掲載したブログ「公式戦の記録係の要員が不足している状況で提案された今後の対策」の本文とコメントが、パソコンの不調と私の操作ミスによって消えてしまいました。その本文を再掲載します。コメントについては、《やまの》さんから送られた情報によって、おおむね復元できました。詳しい内容は《やまの》さんのコメントからアクセスして確認してください。

このたびの私の不手際をお詫びするとともに、《やまの》さんをはじめ、みなさまのバックアップとご理解に感謝いたします。ありがとうございました。

【7月16日のブログ本文】
今年6月の将棋連盟・通常総会で、奨励会幹事の真田圭一七段が「公式戦の記録係を確保することがぎりぎりの状況です」と訴え、棋士たちに今後の対策について相談しました。

公式戦の年間対局数は約2500局(女流棋戦も含む)。この数字は棋士の増加にともない年々、少しずつ増えています。すべての対局には記録係がつきます。それらの棋譜はデータベースに整理・保存され、研究資料として役立っています。

公式戦の記録係は主に奨励会員が務め、女流棋士や研修会員も務めます。近年、その記録係の要員が不足しているそうです。奨励会員の人数は東西を合わせて約140人。そのうち10代は約70人で、半数が記録係を免除される義務教育中の中学生です。残りの半数は高校・大学に通学していて、試験や単位獲得のために平日を休めないことがあります。

つまり約140人の奨励会員の中で、実際に記録係を務められるのは約50人と決して多くありません。とくに同日に一斉対局されるB級1組以下の順位戦では、局数が多いうえに持ち時間が長いことから希望者が少ないのが実情です。そんな状況において、ある女性研修会員は月平均で10局も記録係を務めています。しかし研修会員は、奨励会員と違って記録係は義務ではないので、ずっと頼りにするわけにもいきません。

奨励会の真田幹事は、①奨励会員以外の記録係を認める、②持ち時間の少ない対局は記録係をつけない、という今後の対策を提案しました。①は、講習を受けた普及指導員・大学将棋部の学生、指導棋士、有志の若手棋士などに記録係を依頼する案です。②は、棋聖戦、朝日杯オープン戦、NHK杯戦、銀河戦などの予選では、対局者本人が対局時計を押し、勝者が棋譜を書いて提出する案です。

このブログの読者の中で、公式戦の対局を眼前に見て勉強しながら記録料を得られる記録係を務めたい方はいますか? とても魅力的な仕事と思う方もいるでしょう。しかし現実には、朝10時に始まった対局が深夜に及ぶこともあり、ハードで責任感が求められる役目です。なお記録料は持ち時間によって違い、だいたい1局につき6000~8000円です。タイトル戦の記録料は別に定められています。

記録係のいない対局では、何かトラブルが生じた場合が問題になります。先日の銀河戦の予選(持ち時間25分・秒読み30秒)の対局で、秒読みで記録係に「9」と呼ばれた直後に遅れ気味に指したある棋士が、自ら記録係に「時間が過ぎていた?」と確認したところ、記録係がうなづいたので、その棋士は潔く「時間切れ負け」を認めました。その例のように、記録係は時として「審判員」を兼ねることもあります。

約15年前にある棋戦の予選では、記録係がつかない方式が試験的に導入されました。その当時、とくにトラブルはありませんでした。20代の若手棋士だった先崎学八段は、対局時計を使った経験がない対局相手の70代のベテラン棋士に配慮し、自分で相手の時計のボタンを押してあげたそうです(押さないと相手の持ち時間だけが減る)。

日本棋院(囲碁棋士の団体)では、原則として新聞に掲載されない対局は記録係がつかないそうです。連盟も、すべての公式戦の対局に記録係をつけることは現実的に難しくなってきたと思います。義務教育中でなくても、未成年の少年が深夜に及ぶ長時間の対局の記録係を務めるのは、いろいろと問題がありそうです。記録係の体調が悪くなったりしたら、連盟は管理責任を問われかねません。

連盟が立ち上げた「奨励会制度委員会」のメンバーの私は、委員会で前記の②案の導入を求める考えです。

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コメント

記録係のこと深刻ですね。でも私は田丸先生の提案通りでよいと思います。ただ秒読みなどの審判の役割は再考してほしいと思います。
昔NHK杯でしたが、某棋士が指した手は明らかに時間切れだったのですが、そのまま進行したのをテレビで観ていました。記録係が常に下位のものであれば、大先輩の方々に反則とは言い難いのでしょう。そういうことの無いように、ビデオや時計は全戦で取り入れたらと思います。
最近、ニコ動でやっている中継は私は本当に楽しめます。
中継もいろんな先生が解説や予想くれると楽しいし、また面白い。若いひとにも楽しさがわかるように提案して欲しいと切に思います。

投稿: 将棋太郎 | 2012年7月29日 (日) 01時31分

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