将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2012年4月 2日 (月)

順位戦・C級2組の人数や昇級枠などの問題点

前期のC級2組順位戦では3人の全勝者が出たために、順位上位で9勝1敗の菅井竜也五段が昇級できない事態が生じました。それに関連して、C級2組の人数や昇級枠について提言するコメントが多く寄せられました。それらを抜粋して紹介します。

「C級2組は人数と対局数のバランスが取れてないように思います」というコメント(3月21日)は《masa》さん。

前期のC級2組の人数は44人でした(今期は46人の見込み)。ほかのクラスに比べると、昇級の競争率は約15倍と最も高いです。対局数が多ければ実力が反映しやすく、前期のような事態はなくなる、という見方はあります。その半面、混戦になることも予想されます。過去10期の三段リーグ(対局数は各18局)で調べてみると、20人の四段昇段者(次点2回の昇段者を除く)の総合成績は273勝87敗(0.758)で、平均で13勝5敗から14勝4敗の成績でした。人数と対局数はあまり関係ないようです。

「※年連続してC級2組に在籍している棋士は、フリークラスに降級させる。ただし現役棋士として残れる年数は、宣言によるフリークラス棋士(原則として15年プラスアルファ)よりも、条件的に緩和させる。とすれば、C級2組に多くの長期滞留者がいる状態が緩和されます」という内容のコメント(3月25日)は《オヤジ》さん。

順位戦でC級2組に何年いても昇級できない棋士は将来の見込みがない、とみなす厳しい制度ですね。会社員に例えれば、万年平社員を非正規社員に降格させるようものですが、現実には労働協約のうえで簡単に実施できません。将棋連盟でも、「万年C級2組」の棋士にそんな扱いをしたら大騒ぎになるでしょう。何しろタイトル保持者もC級2組の棋士も、総会で投票するときは同じ1票に変わりありません。

「順位戦の対戦相手の抽選が昇級に大きな影響を与えないシステムを希望します」というコメント(3月26日)は《masa》さん。

順位戦の対戦相手や順番は、諸条件を設定したうえで抽選で決まります。とても公平なシステムです。ただ前期のC級2組のような事態を避けるために、最終4局(または2局)を未定にして、同成績者同士が対戦する方式を導入する策はあると思います。

「C級2組で全勝者が4人出た場合はどうなるのでしょうか」というコメント(3月27日)は《むら》さん。

順位戦の規定では、どのクラスでも全勝者は無条件で昇級できます。

「C級1組とC級2組は2年連続8勝以上で昇級、という規定を加えたらいかがでしょうか。または、人数によって昇級枠を増やす方法もあります。B級2組からC級2組は、人数を10で割って四捨五入する数字を昇級枠とします。25人~34人は昇級3人、35人~44人は昇級4人」というコメント(3月26日)は《ことぶき》さん。

順位戦制度が発足して約65年たちましたが、各クラスとも2人の昇級枠(C級2組は約35年前から3人)はずっと不変です。その昇級枠を増やしてクラス間の風通しをよくしたほうがいい、という将棋ファンの声は多いです。ただ当事者の棋士にとっては、昇級枠が増えても素直に喜べない事情があります。

仮にB級1組からC級1組までの昇級枠を3人に増やした場合、同時にA級とB級1組の降級枠は2人から3人に増えます。B級2組以下も連動し、「降級点」制度は現行よりも厳しくなるでしょう。つまり順位戦制度は、昇級という「アメ」と降級という「ムチ」で成り立っていて、それが魅力となっているのです。

そうした状況において、アメを求めるのは一流棋士か伸び盛りの若手棋士だけで、大半の棋士はムチを恐れてクラス維持をめざしているのが現実なのです。ましてや順位戦は、棋士生命にも直結する棋戦でもあります。

順位戦を根幹とした現行制度については、また改めてテーマにします。

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コメント

田丸先生、各種の意見への詳細かつ分かり易いコメント、有難うございました。いつも思うのですが、田丸先生の言われることは極めて実際的かつ論理的ですね。田丸先生が連盟の会長か専務理事になられたら、連盟のため、将棋界のために大いにプラスになるのではないでしょうか。

投稿: オヤジ | 2012年4月 3日 (火) 18時52分

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