将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2012年2月12日 (日)

与野党の国会議員が将棋文化振興議員連盟の設立で「大連立」

国会では、社会保障と税の一体改革、消費税増税、沖縄の米軍基地、原発などの重要案件をめぐって、政府と野党の間できしみが生じています(与党の中でも)。かつて取り沙汰された民主党と自民党の大連立の問題などは、今やすっかり消えてしまった感じです。しかし将棋という趣味の分野では、与野党の国会議員による「大連立」が成立したのです。

昨年の8月、国会内の議員会館で「将棋文化振興議員連盟」を設立する総会が開かれました。民主党、自民党、公明党、共産党、国民新党、たちあがれ日本、みんなの党など、衆参両院より約50人の国会議員が出席し、超党派による将棋会となったのです。

まず発起人代表の山東昭子(自民・参院)から「日本の伝統文化である将棋の普及と発展を図りながら、党派を超えて将棋で親睦を深めたい」という趣旨説明があり、会長に渡部恒三(民主・衆院)、会長代行に山東が選ばれました。※敬称略。以下も同じ。

席上では、元首相同士の安倍晋三(自民・衆院)と鳩山由紀夫(民主・衆院)が隣同士で歓談したり、国会内の趣味の会に共産党議員として市田忠義(参院)が初参加するなど、その日ばかりは政争から離れて和気あいあいとした雰囲気だったそうです。

当日は、代理出席者や欠席者を含めて約100人の入会者がありました。前記議員以外の主な顔ぶれを紹介します。

民主党は、前原誠司(衆院)、鹿野道彦(衆院)、原口一博(衆院)、古川元久(衆院)、田中直紀(参院)、松原仁(衆院)、樽床伸二(衆院)、三宅雪子(衆院)など。自民党は、菅義偉(衆院)、高村正彦(衆院)、河村建夫(衆院)、村上誠一郎(衆院)、衛藤晟一(参院)、石井浩郎(参院)、小渕優子(衆院)、稲田朋美(衆院)など。公明党は、井上義久(衆院)、池坊保子(衆院)など。共産党は、穀田恵二(衆院)。国民新党は、亀井静香など。たちあがれ日本は、平沼赳夫(衆院)、園田博之(衆院)など。みんなの党は、柿沢未途(衆院)など。

山東は約30年前に芹沢博文九段に将棋の指導を受け、民放テレビの早指し棋戦の番組で詰将棋コーナーを担当したことがありました。鳩山の棋風はやはり「宇宙流」なのでしょうか…。原口、古川は将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖と交流があります。田中の義父は熱心な将棋愛好家だった元首相の田中角栄です。石井は元プロ野球選手で、民放テレビの番組の企画で野球解説者の江川卓と将棋を指したことがありました。

なお将棋会の事務局長を務める米長晴信(民主・参院)は、米長永世棋聖の甥にあたります。写真を見ると、「ドジョウ首相」の野田佳彦によく似た顔です。

連盟会長の米長としては、国会議員の将棋会を通じて永田町や霞が関とパイプを太くし、いずれは将棋関連の予算を増やしたり、小中学校の授業に将棋を必修化させたい、という目的があると思います。

それには国会がまず正常化して、山積する重要案件が早く成立することが望ましいです。しかし衆院の解散・総選挙を視野に入れた与野党の攻防がまだ続きそうで、しばらくは流動的な状況です。

次回は、歴代首相と将棋界との関係。

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