将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2012年1月15日 (日)

田丸の新刊書『実録 名人戦秘話』へのコメントについて

昨年12月に発売された私の新刊書『実録 名人戦秘話』について、多くのコメントをいただきました。ありがとうございました。

「山田史生さんの『最強羽生善治と12人の挑戦者』と一緒に読むと、将棋界の今がわかるのかもしれません」というコメント(12月19日)は《深田有一》さん。

山田さん(将棋ジャーナリスト)の著書は、羽生(二冠)と一流棋士たちが激闘した勝負の話で、それは現代棋界の「盤上」における歴史そのものです。私の著書は、70年以上の伝統がある名人戦をめぐって将棋連盟と大新聞社が過去に繰り広げた契約問題を主題にしたもので、近代から現代にかけての将棋界の「盤外」における歴史といえるでしょう。確かに両書を読むことによって、将棋界の盤上盤外の歴史が理解できるかもしれません。

将棋界の歴史、文化、時評、棋士の横顔などをテーマにした著作が、以前はよく刊行されました。私が今でも参考資料として役立てているのは、『将棋百年』(山本武雄)、『将棋文化史』(山本亨介)、『棋士その世界』(中平邦彦)、『愉快痛快棋士365日』(能智映)、『将棋の博物誌』(越智信義)などです。これらの著作を読むと、将棋界の歴史と文化、棋士の人間味がよくわかります。

山本武雄さん(故人)は九段の棋士で、「陣太鼓」の筆名で読売新聞の観戦記を長年にわたって担当しました。山本亨介さん(故人)は元観戦記者で、将棋史の研究に打ち込みました。中平さんは神戸新聞の元論説委員で、現在も王位戦の観戦記を担当しています。能智さん(故人)は王位戦の元担当記者で、棋士とお酒をこよなく愛した名物記者でした。越智さんは将棋文献収集家で、今年で92歳を迎える高齢ながらも、生き字引のように将棋史に精通しています。

近年は、一流棋士の実戦集、流行戦法の詳しい解説書、詰将棋、入門書などの技術書は数多く刊行されています。しかし、前記のような読み物の著作の刊行は少ないのが現状です。その背景には、書き手が少ない、内容的に不都合が生じかねない、需要が見込めない、といった著者や出版社側の事情もあるのかもしれません。

「田丸八段しか書けない話に期待が持てます」というコメント(12月19日)は《将棋太郎》さん。「記述に当たっての田丸八段の平衡感覚が、単なる秘話でなく将棋史の貴重な記録になっていると思います」というコメント(1月6日)は《つねきち》さん。

自分の体験に基づいた名人戦の歴史、というのが本書の特徴です。その一方で、連盟・新聞社・棋士のそれぞれの立場も慮りました。自身の思いと客観性のバランスを念頭に入れながら書いたものです。

「どこかでサイン会はありませんか。記念に本にサインいただきたいです」というコメント(12月21日)は《ジロ》さん。

サイン会の予定は今のところありません。私がたまに顔を出すことがある東京・杉並の「将棋サロン荻窪」(☎03‐3220‐5247)には、私のサイン入り著書が置いてあります。もし品切れでも、連絡があればすぐに届けます。また2月以降には、連盟の販売部が田丸のサイン入り著書をネット販売する予定になっています。

次回も、田丸の新刊書へのコメントについて。

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