将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2011年10月 8日 (土)

親子棋士、20年前の指導対局、子どもの名前のコメントへの返事

私のブログは今年10月で3年目に入りました。いつも読んでいただき、ありがとうございます。今後も将棋界の裏話、棋士の意外な一面、私の思い出話などを伝えていきます。これまで原則として週2回の更新を続けてきました。しかし8月と9月は更新回数が少なくなっています。じつは今年12月に私の書籍が刊行される予定で、それに向けて夏から執筆に取り組んでいます。その関係でブログの執筆が遅れがちです。ひとつ、ご理解のほどをお願いします。

その書籍は、6年前に刊行された『将棋界の事件簿』の続編に当たる内容です。約35年前の将棋連盟と大新聞社が名人戦契約で決裂した問題から、5年前の大新聞社同士の名人戦共催の問題まで、一連の名人戦問題の経過と真相を書いています。また、今年で棋士生活40年目を迎えた私の思い出の対局やエピソードも振り返ります。発売日が近くなったら、また改めて紹介させてもらいます。

「親子棋士の件(9月5日のブログ参照)ですが、加藤博二九段の父親(竹次郎さん?)も棋士だったみたいですね」というコメント(9月7日)は《田舎天狗》さん。

加藤九段の父親は加藤竹二郎五段です。大正から昭和初期の時代にかけて活躍しました。ただプロ棋界が確立されてなかった昔の時代は、プロとアマの境界が曖昧でしたので、現在の連盟の棋士系統図には載っていません。加藤九段の回想によると、かなりお酒が好きだったそうです。戦後まもないころに55歳で亡くなりました。

「私は中学生だった20年ほど前、学習塾で開かれた将棋大会に興味本位で参加すると、全敗して悔しい思いをしました。そこで少しでも追いつきたい一心で、将棋会館でプロ棋士に教わることにしました。その際、私の指導対局を担当したのが田丸八段でした。定跡をろくに知らない私に、親身に的確に教えてくれました。対局の途中では、指導を申し込んだ経緯まで聞いてくれました。帰りぎわに『柳くんが塾で将棋を勝てるようになるときを楽しみに待っているよ』と笑顔で語りかけ、名刺をくださいました(いまだに保存しています)。私は田丸八段に朗報を伝えられませんでしたが、その後は将棋がますます楽しくなり、現在も愛好しています」という内容のコメント(9月14日)は《柳》さん。

そうでしたか…。私は記憶力がいいのですが、柳さんのことはまったく覚えていません。でも指導対局の光景は何となく想像できます。将棋をまったく知らない少年に、何とかしてあげたいと思って親切にしたのでしょう。将棋に負けたとき、腐ってやめてしまう人と、悔しさをバネに頑張る人に分かれます。柳さんは後者だったわけで、私はなおさら励ましたいと思ったのでしょう。これからも将棋で楽しんでください。

「奥村明さん(29年前の朝日アマ名人戦で準優勝)の息子さんの名前(9月30日のブログ参照)には笑いました。『龍馬』ですか! すごい名前を付けたもんですね」というコメント(10月6日)は《オンラインブログ検定》さん。

将棋の好きな人が自分の子どもに、将棋の駒にちなんだ名前を付けることはよくあります。代表的な名前が「歩」(あゆみ)「香子」「桂子」「竜也」などです。棋士の中では、松尾歩七段、豊島将之六段、菅井竜也五段、及川拓馬四段、里見香奈女流三冠、松尾香織女流初段の名前に、将棋に関係した字が付いています。昔の棋士では、金子金五郎九段、藤内金吾八段(内藤国雄九段の師匠)に「金」の字が付いていますが、将棋の駒との関係は不明です。奨励会には「竜馬」「悠馬」「龍生」の名前が付いている会員がいます。

将棋にちなんだ名字では矢倉規広六段がいますが、得意戦法は振り飛車で矢倉はほとんど指さないそうです。私は最近、「桂馬」という名字の方に会いました。どんな由来があるのか、いちど聞いてみたいと思っています。

次回は、写真に凝っていた田丸の青年時代。

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コメント

毎回面白く読ませていただいてます。田丸先生のブログには私の知らない話とそれに対する意見もユーモアや優しさも入っていて、たぶん他の誰も書けない内容だと思います。
私は学生時代からヘボで、今ではパソコンソフトが相手をしてくれるくらいです。それでも将棋の世界に魅かれています。
ただ残念なのは、将棋がすたれていくことです。棋戦や雑誌、テレビなどだんだんと少なくなってしまうようで悲しいことです。
先生はなにか将棋復興のアイディアがあるのではないかと、なにかお考えを聞かせていただければと思っています。個人的にはもっと将棋の棋戦をネットで公開してほしいと思っています。好きな棋士の棋譜や戦いを見たいと思います。あとは土日に棋戦、できれば公開棋戦を多くしてほしいと思います。ブログを見ている方々にも『こうしたら将棋が盛んになる』というアイディアを募集したらと思います。ホントは公益法人にもなった連盟様にいう話なんでしょうが・・・

投稿: 将棋太郎 | 2011年10月 9日 (日) 22時56分

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