将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2011年5月28日 (土)

公益社団法人になった日本将棋連盟が初めての総会を5月26日に開催

日本将棋連盟の総会

今年の4月1日付けで「公益社団法人」になった日本将棋連盟が、初めての通常総会を5月26日に開催しました。正会員・218人のうち、出席者は203人(32通の委任状を含む)。会場は東京の将棋会館に隣接する「けんぽプラザ」3階の集会室。

連盟会長の米長邦雄永世棋聖は冒頭で、「私たち棋士にとって重要なことは、将棋を高める(技術の研鑽)こと、将棋を広める(普及)ことです。とくにエコが叫ばれている今の日本では、電気を使わない将棋はまさにふさわしい娯楽です」などと挨拶しました。

次いで会長による議長指名の後、恒例の「新会員紹介」に移りました。今年は、前年度に四段に昇段した棋士(佐々木勇気四段、門倉啓太四段など4人)のほかに、公益社団法人への移行にともなって10人の女流棋士が連盟の正会員(タイトル経験者と四段以上が有資格者)となりました。その女流棋士たちは、里見香奈女流三冠、甲斐智美女流王位、上田初美女王、清水市代六段、関根紀代子五段、谷川治恵五段、長沢千和子四段、斎田晴子四段、矢内理絵子四段、千葉涼子四段。

最前列の近くにずらりと並んだ新四段と女流棋士(里見と千葉は欠席)は、先輩棋士たちを目前にして晴れがましい表情でした。例年は各棋士が簡単に自己紹介しますが、今年は人数が多いので行われませんでした。

新会員紹介が終わって報道陣が退室すると、本格的な議事に入りました。会長と理事たちが各部報告を述べ、それらについて質疑応答をしました。私たち棋士にとって最大の関心事は、棋戦を主催する新聞社の経営状況が景気の悪化によって苦しいことでした。それは連盟との契約金にも影響を及ぼします。今年や来年という話ではありませんが、将来的には連盟の財政に響く事態が懸念されています。

今年は2年に1度の理事改選がありました。例年は総会当日の選挙で理事を決めましたが、新法人となって制度が変わりました。4月に行われた「予備選挙」で6人の理事(棋士)を選び、「信任選挙」で連盟事務局が推薦した7人の理事(外部の人、棋士、連盟職員)を満場一致で選びました。そして5月の総会で、全員の理事選出が改めて承認されました。

予備選挙による新理事は、米長永世棋聖、谷川浩司九段、田中寅彦九段、中川大輔八段、東和男七段、北島忠雄六段。谷川は新任で、ほかは再任。

信任選挙による新理事は、杉田亮毅さん(日本経済新聞社会長)、川淵三郎さん(日本サッカー協会名誉会長)、小林千寿さん(日本棋院常務理事)、渥美雅之さん(棋道師範)、長島俊之さん(連盟経理部長)、島朗九段、谷川女流五段。新聞社首脳、スポーツや囲碁の団体幹部、将棋ファン代表、連盟職員、男女の棋士など、様々な分野の人たちでした。

そして13人の理事の互選によって、米長永世棋聖が連盟会長に就任しました。谷川九段は専務理事になりました。予備選挙のほかの理事4人と職員の長島も「常勤理事」になりました。それ以外の6人は「非常勤理事」として、理事会を補佐していきます。

上の写真は、前列の左から谷川、米長、川淵、小林、谷川女流。

川淵さんが挨拶で「将棋は大好きで、いつもテレビで対局を見ています。ただ名人戦が4局で終わってはつまらない。せめて2勝しなくては…」と羽生善治名人に向かって話すと、場内は大爆笑になりました。

谷川女流が挨拶で「正会員として総会に出席させていただき、全女流棋士を代表して感謝いたします。迫力ある応酬(ある問題でもめた件)にはとても驚きました。どうか仲良くしてほしいです…」と話すと、やはり場内は大爆笑になりました。

連盟が公益社団法人として初めて開催した総会は、こうした明るい雰囲気で無事に終了しました。

次回は、公益社団法人の問題について。

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コメント

こんばんわ。公益社団法人になって初めての総会ですか。
将棋界も新たな第一歩を踏み出したといえますね。
これまでのように、明治・大正・昭和初期の先生方の思い出話にひたらず、未来を見据えた普及、活動を期待します。
里見さんが『セーラー服の女流棋士』として世に売れ出したのは5年前。
この5年間、将棋界はどう変わりましたか?
里見さんに続く、または里見さんを倒すであろう、女の子を発掘しましたか?
イベント会場・大盤解説会・将棋大会・その他各種のイベント・・・若い男女が来ていますか?
そうした『環境改善』にも期待します。
もはや将棋界は、『縁台将棋世代』が楽しんでいる状況ではないのです。
プロはもちろん、アマチュアや観戦記者、新聞社の将棋担当者、そして専門誌『将棋世界』『週刊将棋』でも『将棋に理解をしめす若い男女』の存在、育成が大事です。
次なる『米長体制』に期待します。

投稿: S.H | 2011年5月29日 (日) 01時20分

確かに新聞社の財政状況の悪化は死活問題です。
しかし将棋連盟側としては新聞社との交渉に加え、
経費の削減と新たな財源の発掘が不可欠かと思いますが、
そのために連盟はどのようなことを考えているのでしょうか?

例えば経費といっても棋士の人数が増えすぎたことが原因と考えますが、
成績不振の棋士のクビを切ることは容易でないと思います。

なので収入増に焦点をあてると、最近のニコニコ動画での配信や
大和証券杯など、将棋とインターネットメディアの相性は非常によいと思われます。
将棋連盟は新たなスポンサー探しに力を入れているのですか?

投稿: たまー | 2011年5月30日 (月) 22時07分

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