丸山九段の冷却シート、NHKの将棋番組、香落ち戦のコメントへの返事
「A級順位戦最終局でネット上で話題になったのは、丸山忠久九段が対局中に頭髪の上に冷却シートのようなものをしばらく貼ったことです。あれはどういう意図があったのでしょうか」というコメント(3月7日)は《ひろ》さん。
私も衛星放送の中継でその光景を見ました。丸山にとって負ければA級陥落のおそれがある対局でしたが、そんな深刻さとは裏腹に奇妙な感じがしました。相手の対局者の渡辺明(竜王)も不思議そうに見ていました。あれは子ども用の熱冷ましシートだそうで、家族に幼児がいる丸山家の常備薬なのかもしれません。丸山は緊張感による頭部のほてりを冷ますためにそれを使いました。朝日新聞の観戦記によると、当初は額に貼り、すぐに取り外して頭の上に貼り直したそうです。どちらにより効能があるのかはわかりません。丸山は局後、苦笑しながら「変でしたか?」と話したそうです。
「4月からNHK杯戦の番組の放送時間が短くなるようです。講座の時間も短くなり、衛星放送の土曜日のジャーナルがなくなります。名人戦、竜王戦が今までのように衛星放送で放送されるのか気がかりです」というコメント(3月11日)は《関西関西》さん。
NHKは4月1日から、従来の衛星放送(BS1・BS2・ハイビジョン)が2波に減ります。BS1・BSプレミアムに移行し、前者は国際報道とスポーツ、後者は教養と娯楽の番組に分かれるそうです。そうした再編によって、将棋番組にも変更がありました。
NHK教育テレビで日曜日に放送される将棋・囲碁の番組は、次のような時間帯に変わります。将棋講座(10時~10時15分)、将棋NHK杯戦(10時15分~11時45分)、囲碁将棋フォーカス(11時45分~12時15分)、囲碁講座(12時15分~12時30分)、囲碁NHK杯戦(12時30分~14時)。将棋・囲碁ともに、講座が5分、NHK杯戦が10分、放送時間が短くなります。そして衛星放送の情報番組『囲碁将棋ジャーナル』が、地上波の『囲碁将棋フォーカス』に変わります。
NHKの衛星放送統合によって、番組のラインナップに様々な影響が出ています。地上波の将棋・囲碁の番組の放送時間は少し減ることになります。ある関係者の話によると、衛星放送の名人戦、竜王戦などのタイトル戦中継は、報道番組という意味合いもあってこれまでどおり放送されるそうです。ただし「将棋の日」などのイベント関係の番組は、将来的にどうなるか不明のようです。
「香を引いて指すというのは、左の香落ちですか。また、公式戦で香落ち戦を指したのは升田幸三ですか」という内容のコメント(3月16日)は《よっしー》さん。
香落ちの手合いには、飛車側の「右香落ち」と角側の「左香落ち」があります。江戸時代には右香落ちも指されましたが、明治時代以降は左香落ちに統一されています。右香落ちでは下手側がハンディをとがめにくく、左香落ちよりも平手に近いといえます。公式戦で香落ち戦を指したのは、升田幸三(実力制第四代名人)と大山康晴(十五世名人)の2人だけで、いずれも王将戦で相手の対局者を「指し込み」にしました。升田は当時・名人の大山に勝ちました。大山は二上達也(九段)、加藤一二三(九段)らに勝ちました。
次回は、新年度から将棋連盟が公益社団法人に。
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コメント
田丸先生、丁寧な解説をして下さって有難うございます。
右も左も香車落ちがあったのですね~。興味深いです。
右香落ちだと平手に近いというのが、更に興味深いです。
逆だと思っていました。理由は左香は角が97の地点を守って
いるので、左香が無くても上手は防御・対応しやすいと
思っていたからです。右香が無いと17の地点を守りにくいの
ですが、右香落ちが平手に近いのですね?
別件ですが、公益社団法人になると連盟にどんなメリットが
あるのですか?
税制優遇ですか? 知名度アップですか?
投稿: よっしー | 2011年4月 2日 (土) 18時29分