田丸は今年の春に現役棋士生活40年目を迎えます
謹賀新年。本年も、このブログのご愛読をお願いします。
私は1972年(昭和47年)2月22日、奨励会・三段リーグの「東西決戦」に勝って四段に昇段しました。そして72年度の順位戦に初めて出場しました。それから年月を重ねて、今年の春に現役棋士生活40年目を迎えます。公式戦の勝敗や実績はともかくとして、ひとつの節目となる年数まで現役を続けられたことに、私自身はとても満足しています。というのは、各棋士が同じような道筋を歩むとは限らないからです。
72年前後の5年間に四段に昇段した棋士たちの中で、現在も順位戦に出場し続けているのは田中魁秀九段(今春に現役棋士生活42年目)、淡路仁茂九段(同38年目)、青野照市九段(同38年目)の3人だけです。フリークラス在籍の現役棋士は、田丸、佐藤義則八段(同41年目)など3人。引退者は坪内利幸七段(順位戦初出場は70年度)、小阪昇七段(同74年度)など4人。死亡者は真部一男九段(同73年度)。
これらの例のように、私と同世代の棋士たちの約7割は、成績不振によってフリークラス在籍や引退、あるいは病死という棋士人生をたどりました。こうした変転も勝負の世界の定めといえます。そして激しい勝負が繰り広げられている現在の棋界でも、棋士たちは勝ち組と負け組に分けられて、いずれ同じような状況になるでしょう。
将棋連盟は毎年11月、現役棋士生活が25年目と40年目の棋士に対して「勤続表彰」をします。今年の秋にその「40年勤続表彰」を受ける私は、気持ちを新たにして対局・執筆・指導などの活動に励みたいと、年頭に思っているところです。
今年の干支は「ウサギ」。ウサギのように軽快に跳ね、大いに飛躍したいものです。ウサギ年の年男・年女の棋士は、次のとおりです(年齢は今年の誕生日時点)。
72歳は、内藤国雄九段、若松正和七段。60歳は、児玉孝一八段、松浦隆一七段。48歳は、南芳一九段、島朗九段、有森浩三七段、神崎健二七段、石川陽生七段、安西勝一七段、平藤真吾六段。36歳は、久保利明二冠、堀口一史座七段、北浜健介七段、伊奈裕介六段。24歳は、広瀬章人王位、高崎一生五段、及川拓馬四段、船江恒平四段、中村真梨花女流二段、藤田綾女流初段、鈴木環那女流初段、中村桃子女流1級。
将棋を愛好する著名人の年男・年女も紹介します。60歳は、作家の夢枕獏さん、囲碁棋士の武宮正樹九段。36歳は、元プロテニスプレーヤーの杉山愛さん、タレントのつるの剛士さん。
連盟は今年の春、「公益社団法人」の認可を政府に申請した一環として、財政・組織・棋士の処遇などで大改革を行います。その経緯と概要については、近いうちにこのブログでお伝えします。
次回は、コメントへの返事。
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コメント
週刊漫画誌「モーニング」で連載が始まった、「ひらけ駒!」に、何と田丸先生が出ていました!
特徴がある顔というか、漫画にし易い顔というか(失礼しました!)、見てすぐに判りました。
もちろんご存知ですよね。
どういう経緯で登場するようになったのですか?
投稿: マチュピチュ | 2011年1月 8日 (土) 19時25分
田丸先生
あけましておめでとうございます。
大変ご無沙汰してしまい、申し訳ありません。
40年!!の棋士生活の中に、様々な思い出がいっぱい詰まっていらっしゃるのでしょう。
これからも、お体を大切にしながら、頑張って下さいませ!
投稿: 吉澤はじめ | 2011年1月 9日 (日) 04時08分