将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年12月 3日 (金)

田丸の著書、真部九段の絶局のコメントへの返事

「私は田丸八段の『詰め方カタログ』が好きで勉強させていただきました。最近の棋書の精度は素晴らしいですが、マニアックでプロの参考書と思うこともしばしば。遊び心がある棋書が増えることを望みます。このコラムを所々に盛り込んだら、楽しい本が創れると思います」というコメント(10月30日)は《関東のホークスファン》さん。

私の著書『詰め方カタログ』は、実戦に役立つような様々な詰め方を場面別に解説しました。おかげで好評でしたが、発行して20年たった今は書店に出回っていません。確かに最近は、専門的な内容の棋書が多いです。将棋界の情報や棋士のエピソードを盛り込んだ楽しく読める棋書があってもいいですね。私は来年、そんな本の出版を計画しています。

「浪人中の息子は、将棋は趣味として田丸八段の本を愛読しています」というコメント(11月13日)は《希》さん。

《希》さんは医療関係の方ですね。私が風邪を引いたとき、いつも丁寧に治療していただいて感謝しています。息子さんは志望大学をめざして受験勉強の日々だそうですが、時には合間に気晴らしで将棋を楽しんでください。

「『縁台将棋必勝法』が生まれ変わって刊行されたという『ハイテク将棋必勝法』を、ネット通販で発注しました。将棋を覚えたばかりで、指すことが楽しかったあの頃の熱みたいなものが再び蘇りそうです」というコメント(11月19日)は《てんなん》さん。

私が31年前に初めて出した『縁台将棋必勝法』は、出版社が直後に倒産しました。しかし別の出版社から改題されて出て、今も読んでもらえるのは大変うれしいです。

「真部一男九段は忘れられない棋士です。あまりにも早い逝去(55歳)に今でも哀しい思いです。豊島将之五段との絶局の後、お見舞いに訪れた小林宏七段に、『あの局面は私の勝ちだ。誰か続きを指してくれないかな』と語ったそうですね。そのまったく同じ局面を、大内延介九段が順位戦で再現し、しかも真部九段の指したかった4八角の自陣角まで指しました」という内容のコメント(11月24日)は《ジロウ》さん。

「ジロウさん、4八角は△4二角ですね。真部九段は没後、升田幸三賞特別賞(※)を受賞しましたが、真部九段らしい絶局でしたね」というコメント(11月26日)は《柳》さん。※実際は2008年・将棋大賞での東京将棋記者会賞。

真部九段は07年10月30日の順位戦・豊島戦(戦型は真部の中飛車)で、体調不良のために序盤の局面で投了しました。じつは、その局面で△4二角と自陣に打つ好手がありました。後日、弟子の小林七段に「あそこで△4二角と打てば俺のほうが指せると思う。でも角を打つと相手は長考するだろ。そうすると投了できなくなってしまう」と、指さなかった理由を語ったそうです。

真部の通夜となった11月27日。順位戦・大内九段―村山慈明五段戦で、大内は真部が打ちたかった△4二角を同一局面で指したのです。ただ大内は別に予備知識があったわけではなく、自分の考えで指したとのことです。そんな偶然があるとはとても不思議で、真部の霊が乗り移ったのでしょうか…。局後に事情を聞かされた大内は、「驚いたね。真部くんの後を指し継いだ形になったんだ。残念だな。勝ってやらなきゃいけなかった…」と語りました。

次回も、コメントへの返事。

|

裏話」カテゴリの記事

コメント

絶局が棋聖戦の挑戦者決定戦だった山田九段は凄いですよね。
相手が大山名人ですからなんか棋士人生を象徴してるようです。
田丸先生の将棋で対大山戦の大一番で3手目に▲6八玉と大胆な手を
指されたのを記憶しています。あの将棋のことなどまだ書かれていない
ならリクエストしたいです。お願いします。

投稿: 田舎天狗 | 2010年12月 3日 (金) 17時15分

田丸八段、コメントへの返信を有り難うございました。『詰め方カタログ』を現在も保存したまに読み返しますが,好きな理由として①一方的な講義形式でなく田丸先生にマンツーマンで教わっている気分になる(笑)②振り飛車党の私は舟囲い相手に本と全く同一局面が出て頓死勝ちした(角の効きを生かして86桂~88飛車、捨てて87香)のが忘れられない(笑)
からです。来年に出版される田丸八段の著書を心待ちにしております!

投稿: 関東のホークスファン | 2010年12月 5日 (日) 08時22分

真部九段の絶局の続きを指したもう一人の立役者・村山慈明五段は△4二角を指されると大劣勢になるのを知っていながら、気がついたらその局面になっていたと語ったそうです。
(片上大輔六段の証言によります。)

投稿: 柳 | 2010年12月 5日 (日) 12時38分

「ハイテク将棋必勝法」は前回コメントの2日後に無事入手することができました。
田丸先生、あらためまして情報ありがとうございました。
「縁台将棋必勝法」の小三治師匠風の表紙も捨てがたかったのですが(^^)「ハイテク」の内容は、まさしく○○年ぶりに読む「縁台」そのものでした。今、再びこの本で勉強させていただいています。しかし、ネット通販というのは便利なものですね。

投稿: てんなん | 2010年12月 5日 (日) 21時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/545452/50198140

この記事へのトラックバック一覧です: 田丸の著書、真部九段の絶局のコメントへの返事: