将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年10月29日 (金)

田丸の著作『縁台将棋必勝法』、加藤―神吉戦などのコメントへの返事

神吉―加藤戦などのコメント

「田丸八段の著作『縁台将棋必勝法』でお世話になった世代の者です」というコメント(10月19日)は『てんなん』さん。

31年前の1979年(昭和54年)、当時六段の私は『縁台将棋必勝法』という著作を初めて出版しました。写真がその表紙で、落語家・柳家小三治を模したイラストのデザインでした。題名のように専門的な棋書ではなく、アマの方が楽しく読みながら上達できるように工夫しました。見開き単位で解説した47項目の「勝つための実戦テクニック」、「棋力判定・次の一手問題」、直撃穴熊破り・振り飛車封じの筋違い角などユニークな4戦法を解説した「この戦法で勝とう」の3章で構成しました。これは私が心血を注いだ著作で、読みやすいうえに実戦に役立つ内容だと自負したものです。『てんなん』さんにも愛読していただき、ありがとうございました。

この著作の版元は実用書専門の中堅出版社で、初版は1万部も出してくれました。 ところが発行して2ヶ月後に倒産してしまいました。業績はそれほど悪くなかったそうなので、計画倒産ではないかとの噂もありました。私は倒産によって印税は25%しか受け取れず、代償に得た300冊の現物を将棋ファンや知人に買ってもらいました。こうして処女作の出版は苦い思い出となりましたが、自力で単行本を書き上げた経験は後に生きました。

「NHK杯戦で加藤一二三九段―神吉宏充七段戦のような面白い対戦を見たいです」という内容の『ジロウ』さんのコメント(8月28日)について、「以前にNHK杯戦で対戦したと思います。確か初手に神吉七段が▲6八飛と指し、振り飛車穴熊の将棋で快勝しました」という内容のコメント(9月29日)は『spinoza05』さん。

『NHK講座』のテキストを調べてみると、94年(平成6年)のNHK杯戦・2回戦で加藤(前期優勝者)と神吉(当時五段)が対戦しました。神吉は初手に▲6八飛と四間飛車に振ると、加藤の棒銀に対して飛車を巧みにさばき、終盤で堅い穴熊囲いを生かして一手勝ちを収めました。観戦記によれば神吉の身なりは、110キロの巨体に鮮やかな水色のスーツ、マリリン・モンローが描かれたネクタイと、じつに派手だったそうです。

神吉は将棋も外見もショーマンシップに溢れています。94年のNHK杯戦では盤上で大活躍しました。先崎学六段、加藤九段、伊藤能四段を連破し、準決勝で先崎、伊藤の師匠の米長邦雄前名人に惜敗しました。※棋士の名称、段位は当時。

「田丸八段は同じ地元出身(長野県)なので昔から応援しています。ブログには、執念が欠けて負けが込んでいると書かれていましたが、フリークラス脱出と九段昇段をめざして頑張ってください」という内容のコメント(10月21日)は『捲くり』さん。

私への昔からの応援、ありがとうございます。近年は勝負への執念に欠け、中盤でポッキリ折れて一方的に負けることがよくありますが、また一花を咲かせるように頑張りたいと思います。なお、私はフリークラスに自身の意思で「転出」したので、順位戦には復帰できません。九段昇段には八段昇段後に250勝が必要で、現時点ではだいぶ足りません。

次回は、新宿将棋センターで20年ぶりの指導将棋。

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コメント

懐かしい表紙です。実は、当時(中学生でした)あまりに面白い内容なので、友達にも読ませたく思い、貸してあげたらそのまま返ってこなくなりました(^_^;密かに復刊されないかなーと期待したりしています。
最近の棋書は、ゴキゲンから居飛穴まで、事細かな解説満載の定跡本は多いですが、当時のこの本や花村九段の「ひっかけ将棋入門」のような、飽きずに読めて棋力も上がる楽しい棋書をあまり見掛けないような気がして、そこは寂しいと感じています。

投稿: てんなん | 2010年10月30日 (土) 00時10分

田丸八段、初めて投稿させて頂きます。私は40歳半ばです。前の方のコメントにありましたように最近の棋書の精度は素晴らしいです、しかし反面マニアックに感じられプロの参考書?と思う事もしばしば。私は田丸先生の『詰め方カタログ』が好きで勉強させて頂きました、今も保存しています。出来ればもっと遊び心がある棋書が増える事を望みます、田丸先生のコラムを所々に盛り込んだりしたら楽しい本が創れると思います!

投稿: 関東のホークスファン | 2010年10月30日 (土) 07時28分

田丸先生、こんにちは!
「TV対局 加藤 VS 神吉戦」を提案させて頂いた、札幌在住のジロウでございます。
私のコメントにご見解を頂き、本当にありがとうございました。
札幌はもう冬を迎えました。
本州はこれから晩秋に向かい、徐々に寒くなってくると存じます。
ご自愛下さい。

投稿: ジロウ | 2010年10月30日 (土) 13時37分

将棋の本はどんなものがあるのだろうと思いインターネットで見ていたら、

田丸先生の『縁台将棋必勝法』というのが出てきました。

縁台将棋必勝法というタイトルでしたのでどんな内容なのかわかりませんで

したし、表紙のイラストがだれなのかもわかりませんでしたので、縁台将

棋必勝法と入力して検索してみました。そしたら田丸先生の と金横歩き 

オフィシャルブログが出てきました。

ブログに記載されていた読者のコメント あまりに面白い内容なので、友達

にも読ませたく思い、貸してあげたらそのまま返ってこなくなりました。

当時のこの本や花村九段の「ひっかけ将棋入門」のような、飽きずに読めて

棋力も上がる楽しい棋書をあまり見掛けないような気がして。という記載を

見て興味を持ちましたし、田丸先生の『縁台将棋必勝法』についての説明を

読んで、表紙が、落語家・柳家小三治を模したイラストのデザインだという

ことがわかりましたし、題名のように専門的な棋書ではなく、アマの方が楽

しく読みながら上達できるように工夫しました。これは私が心血を注いだ著

作で、読みやすいうえに実戦に役立つ内容だと自負したものです。中堅出版

社で発行して2ヶ月後に倒産してしまいました。私は倒産によって印税は

25%しか受け取れず、代償に得た300冊の現物を将棋ファンや知人に買って

もらいました。こうして処女作の出版は苦い思い出となりましたが、自力で

単行本を書き上げた経験は後に生きました。というコメントを見て、これは

欲しいと思い買いました。本の価値というのは内容だけではなく、その本に

関してのいろいろな事情によっても変わってくるものですから、価値がある

と思います。

Yahoo!オークションで買って、2017年3月9日に届いたばかりですから、ま

だ最初から最後まできちっと読んでいませんが、格言に似たことも記載され

ていますし 質問があれば連絡してくださいお返事いたします。とのことで

すので、読者思いの田丸先生の人柄のよさを感じました。

投稿: 村橋勝茂 | 2017年3月11日 (土) 05時00分

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