NHK杯戦で人気投票、千日手のコメントへの返事
「どうしてNHK杯戦には<ファン人気投票出場枠>がないんでしょうかね。加藤一二三九段―神吉宏充七段戦というような面白い対戦を見たいです」という内容のコメント(8月28日)は『ジロウ』さん。
NHK杯戦の出場者や対戦を、ファンの人気投票で選ぶというのはユニークな発想です。加藤―神吉戦の場合、重厚対変幻自在、長考派対早指し派という対比もありますが、ともに重量級の両者の体が画面からはみ出るような対局光景が見ものです。
そのほかに、以前はハブ対マングースの関係だった羽生善治名人―日浦市郎八段戦、新旧「振り穴王子」の広瀬章人王位―福崎文吾九段戦、1980年代に激しく火花を散らした谷川浩司九段―田中寅彦九段戦、「藤井システム」の1号局といわれる藤井猛九段―井上慶太八段戦、21年前に大遅刻事件があった高橋道雄九段―櫛田陽一六段戦、新旧ギャンブラーの先崎学八段―田村康介六段戦、親子の西川慶二七段―西川和宏四段戦、現役大学生の糸谷哲郎五段―中村太地四段戦などが、ともに共通点や因縁があったりして、私なら見てみたい対戦です。
ただ公式戦での対戦は無理があるので、「お好み対局」なら可能でしょう。『ジロウ』さんが人気投票の方式を望むなら、NHKにどんどん投書するといいと思います。「みなさまのNHK」として、視聴者の声を取り入れるはずです。
千日手の問題について、次のようなコメントが寄せられました。いずれも一理ある内容です。「千日手・指し直し局で持ち時間がプラスされるのは、してほしくない気がします。最初から秒読み将棋で内容が稚拙になったとしても、それを含めて人間同士の勝負だからこそドラマがあると思います」という内容のコメント(8月31日)は『ケイ』さん。「王位戦(深浦康市王位―広瀬六段)第5局・指し直し局は深浦が先手でしたが、第6局も深浦が先手でした。手番は変わらないのでしょう」という内容のコメント(9月1日)は『しゃーふ』さん。「チェスでは連続王手の千日手も引き分けなので、文化の違いが出ていて面白いです」というコメント(9月14日)は『ネブラスカ』さん。
千日手・指し直し局では、残り時間が少ないと、タイトル戦は2時間、通常の対局は1時間に持ち時間が増えます。残り時間も勝負のうちなら、『ケイ』さんの考えももっともです。ただ現実問題として、タイトル戦がテレビ将棋のように早く終わってしまってはつまらないと思います。以前はタイトル戦で千日手になった場合、中1日おいて指し直す、両者の残り時間を足して折半した時間を持ち時間にする、という規定の時代もありました。
王位戦第6局で広瀬が先手になった場合、広瀬は▲△▲△▲▲(▲は先手。指し直し局は除く)と6局のうち4局も先手になります。こうしたことは不合理だという声があり、『しゃーふ』さんが言うように、ある時期から先後に関しては1局完結方式となりました。
サッカーやラグビーで引き分けになった場合、勝負を決めずに「勝ち点1」「ノーサイド」とする規定があります。同じ欧州で発展したチェスもゲーム性から、「ドロー」もひとつの勝負の結果という考えがあるようです。
次回で、本ブログは1周年を迎えます。
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コメント
ブログ開始から、もう一年になるのですか。早いものですね。私は当初からのファンです。他の棋士の方々のも拝読していますが、主観的なものはあまりピンときません。こちらのブログは客観的な部分が主で、アカデミックな感じがして好きです。読者の質問に答えてくださるのも良い企画だと思います。週に2回の更新は大変でしょうが、これからも頑張ってください。
投稿: ムーミンパパ | 2010年9月28日 (火) 21時21分
加藤一二三九段と神吉宏充七段は以前にNHK杯で対戦していると思います。確か初手に神吉七段が▲6八飛と指して振飛車穴熊対棒銀の将棋で快勝したように思います。
投稿: spinoza05 | 2010年9月29日 (水) 00時36分