将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年8月 3日 (火)

羽生善治名人就位式で世界的指揮者の小林研一郎が音楽でお祝い

羽生名人就位式で音楽でお祝い

先週の7月30日、3期連続・通算7期目の名人位を獲得した羽生善治名人の就位式が東京・目白『椿山荘』で開かれました。名人戦が3年前から朝日新聞社と毎日新聞社の共催になって以来、名人戦第1局の対局場と前夜祭、就位式はこの会場で行われています。

羽生は挑戦者の三浦弘行八段を4連勝で降しました。主催者の新聞社代表は「羽生さんは相撲界の白鵬のように無敵です」と挨拶しました。しかしどの将棋も優劣不明の形勢が続いた大熱戦で、将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖は「内容的には羽生の1勝3敗」という見方をしました。

名人戦が第4局で終わったことで、第5局以降に予定されていた大阪(大阪美術倶楽部)、奈良(春日大社)などでの対局がなくなりました。どちらも公募で選ばれた初めての対局場で、万全の受け入れ態勢を整えていただけに残念だったでしょう。名人戦協賛社の関係者は「来年はできるだけ第7局までお願いしたい」と苦笑を交えて挨拶しましたが、勝負の結果なのでこれだけはどうにもなりません。

ちなみに番勝負が早く終わった場合、行われなかった対局場へのキャンセル料の支払いは一切ありません。ただ翌期以降にまた候補になった場合、優先的に第4局までに割り当てるなどの配慮をするそうです。

来賓の祝辞は原口一博総務大臣。4月の前夜祭にも出席したほどの熱心な将棋愛好家で、連盟から五段免状を贈呈されました。「伝統文化である将棋をしっかり守っていきます」と挨拶すると、万雷の拍手が起こりました。

羽生は謝辞で「対局者として多くの人たちの熱意に支えられてきたんだと、ひしひしと感じています。来年に向けて一歩一歩頑張ります」と述べました。

乾杯の音頭を取ったのは、クラシック音楽界で世界的に活躍している指揮者の小林研一郎。将棋愛好家の小林は5年前に羽生と対談して親しくなりました。その羽生は今年、70歳の古希を迎えた小林の記念コンサートに出席して打ち上げで挨拶したそうです。

普通は祝辞を一言述べてから乾杯に移ります。しかし小林はコンサートで壇上に立ったように威儀を正すと、ややざわついている会場に向かって「すいません、3分ほど静かにしていただけませんか」と呼びかけました。そして前記の羽生との交友談を紹介し、羽生が小林のCDを聴いて感動したというベートーベン『第九番』のある旋律部分を、設置されたピアノで演奏しました。さらに「指揮者が人前で歌うのは緊張しますが、羽生名人にお祝いの歌を捧げます」と語り、ピアノを弾きながら朗々と歌いました。最後の歌詞は「今日の喜びを胸に秘めて」でした。

将棋の就位式の乾杯の音頭で、こんな音楽によるお祝いはかなり型破りでしたが、私はとても胸を打たれました。

次回は、フリークラス棋士の引退規定の改定。

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