将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年7月26日 (月)

参議院選挙で当選した元プロ野球選手の石井浩郎は将棋愛好家

先日の参議院選挙・秋田選挙区(定数1)において、自民党から出馬した元プロ野球選手の石井浩郎が民主党候補らを破って当選しました。この選挙では多くのスポーツ関係者が立候補しましたが、当選を果たしたのは石井と柔道家の谷亮子(比例区)の2人だけでした。

じつは、石井は熱心な将棋愛好家です。NHKやCS放送の将棋番組で棋士と記念対局したり、将棋雑誌の企画で女流棋士と対談したことがあります。棋力は初段ぐらい。島朗九段と親交があり、たまに指導を受けています。

雪国の秋田で生まれ育った石井は少年時代、冬は外に出られないのでもっぱら将棋で遊びました。プロ野球選手になってからは、近鉄時代は大石大二郎、ロッテ時代は黒木知宏、横浜時代は中根仁らと指しました。かつてエース投手だった「ジョニー」こと黒木が負傷で2軍にいたころ、石井は精神的な支えとなって黒木を励まし、将棋の弟子でもある黒木と指して闘争心をお互いに高めたそうです。

日曜日の朝に放送される情報番組『ザ・サンデー』(日本テレビ系)で、石井の活躍を伝える「拝啓、石井浩郎です。」という人気コーナーが以前にありました。9年前に石井の将棋好きが伝えられると、レギュラー出演者で野球解説者の江川卓が「将棋で勝負してみたい」と語りました。じつは江川も将棋好きでした。選手時代は監督の長嶋茂雄とも指し、引退後は球界最強というヤクルトの古田敦也と指しました(結果は古田が勝ち)。

江川の一言によって、石井と江川の盤上対決が『ザ・サンデー』の番組で実現しました。対局場は東京・千駄ヶ谷の将棋会館。私は取材でその場に同席しました。江川が「将棋歴は35年。自称二段として胸を貸します」と語れば、石井は「島さんに教わっているので、負けるわけにはいかない」と応じ、両者は自信満々の様子でした。

振り駒で石井が先手番に決まると、江川は「昔からくじ運が悪い。ドラフトもなあ…」とぼやきました。戦型は相居飛車で、中盤までは互角の戦いでした。しかし江川が投げ込んだ「速球」が銀損する「暴投」となって失点しました。ただ石井も好機で「三振」し、形勢は次第にもつれました。そして終盤で石井の「快打」が決め手となり、石井が勝ちました。対局終了後、石井が「次回はホームランを打つ」と語れば、江川は「次回は肩を直して完封する」と雪辱を期しました。

石井はプロ野球選手を引退後、西武の2軍監督、飲食店を経営する実業家を経て、政治の世界に転身しました。秋田をはじめとした疲弊する地方経済を再生させたい、との思いから決心したそうです。

石井は、歩の大事さを意味する「一歩千金」という将棋の格言が好きです。野球でも名将といわれる監督は、歩のような選手をうまく使うそうです。新天地の政界でも、歩にあたる庶民の生活を守る姿勢を貫いてほしいものです。

次回は、王位戦で活躍する「振り穴・王子」こと広瀬章人六段。

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