将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年7月 5日 (月)

ワールドカップ観戦で思ったサッカーと将棋の共通点

サッカー・ワールドカップ・南アフリカ大会で日本代表チームは、8年前の日韓大会以来のベスト16に進出する活躍ぶりでした。大会前の評価が散々だっただけに、大いに健闘したと思います。その立役者として、2ゴール・1アシストで貴重な得点に貢献したFWの本田圭佑が脚光を浴びています。また、上位ランクチームとの4試合で失点がわずか2点と体を張って守り抜いた、GKの川島永嗣、DFの中沢佑二、マルクス闘莉王らもよく頑張りました。

私はワールドカップでの日本の4試合をテレビ観戦しました。それを見て改めて思ったのは、サッカーと将棋はゲーム性や戦術面で共通点が多いことです。ゴール(詰み)をめぐって、両チームのFW・フォワード(攻め駒)とDF・ディフェンダー(守り駒)がピッチ(盤上)で激しく交錯します。攻守に働き回るMD・ミッドフィルダーは、攻防の要の「銀」のような存在です。監督が決めるそれらのFW・MD・DFの先発選手は、まさに序盤作戦です。選手間の連携や攻防のバランスが大事なのも同じです。リザーブ(持ち駒)の選手を、いつどのように投入するかも試合の流れのうえで重要です。ドリブル、パス、トラップ、サイドチェンジなどの細かい技は「手筋」そのものです。

日本のサッカーは、かねてから得点力不足が指摘されています。その問題でスポーツジャーナリストの二宮清純は約10年前、「詰将棋を新たな引き出しに」という見出しの記事をスポーツ紙に書きました。将棋好きの二宮は大阪に行くたびに通天閣の近くの将棋クラブに立ち寄り、ガラス窓越しに観戦するのを楽しみにしているそうです。そこで飲んだくれのようなおじさんたちが、終盤で10手以上も先を読んで玉を詰める光景を何度も見ました。そんな体験から、次のような記事を書いたのです。

「詰将棋に対する情熱と分析能力は、日本の庶民が誇る立派な文化だ。これはサッカーに例えれば、ゴールに至るプロセスである。得点力不足に悩んでいる日本代表監督(当時・トルシエ)は、半日でも通天閣周辺を歩けば、日本人観を劇的に変化させるはずだ。そして、まだ使ったことのない新たな引き出しに手をかけるきっかけになるだろう…」

二宮の主張は、論理的思考で玉を詰める詰将棋はサッカーのゴールに似ているということで、暗に選手たちに詰将棋を奨励したのです。その後、日本代表監督になったジーコにも将棋を紹介し、詰将棋とゴールとの共通点を説明したそうです。

スポーツ紙に掲載されたJリーグ・サッカー選手名鑑で、将棋が趣味と記されたのはFWの北嶋秀朗(柏)とDFの波戸康広(横浜)。北嶋は日本代表選手時代の約10年前、相手の動きを読む将棋には、ゴールを奪うストライカーの役目と共通点があると考え、実際に将棋をイメージトレーニングに取り入れました。

日本サッカー協会名誉会長の川淵三郎も将棋を愛好し、社会人時代は昼休みによく指しました。東京オリンピックにも出場した選手時代は、足が速かったので「香車みたいだ」と仲間に言われたそうです。

次回は、参議院選挙に出馬が噂された棋士たち。

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コメント

自分もサッカーを観ていて将棋に似ていると思ったのと同時に、プロ棋士が采配をしたら面白そうだなと思いました。

投稿: 加山 | 2010年7月 6日 (火) 22時01分

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