菅直人さんの将棋は攻めが強くて棋力は二段以上
新首相になった菅直人さんは、新聞記事で趣味は囲碁と紹介されましたが、将棋もかなり好きです。橋本内閣で厚生大臣を務めた1996年に将棋連盟から二段免状を贈呈されたときは、同じ閣僚で将棋の好敵手でもある田中秀征さん(現・政治評論家)と大臣室で将棋を指しました。私はその場に同席して2人の将棋を観戦しました。手筋を応酬し合う力のこもった熱戦でした。詳しい話は、昨年11月23日のブログを見てください。
翌年の97年12月。私は「週刊将棋」の取材で民主党本部を訪れ、同党代表の菅さんから将棋の話を伺う機会がありました。菅さんは小学生時代に将棋を覚え、近所の友達や大人たちと指しました。将棋に最も熱中したのは「新党さきがけ」に所属していた90年代半ばで、仲間の田中さん、簗瀬進さん(参議院議員)とは、暇さえあれば指していたそうです。政務が多忙になってからは、パソコンの将棋ソフトが相手とのことでした。
菅さんは官僚主導の政治状況に対して、当時から厳しく批判していました。それを将棋に例えて、「霞ヶ関の官僚は、将棋の駒でいえば重い形のベタ金みたいなもの。それが数多くいるので1、2枚取ってもすっきりしません。自分たちを守るためではなく、国民のためにエネルギーを使わせるように、喧嘩せざるをえないと思っています」と語りました。最近は消費税増税問題で官僚に取り込まれているとの批判が出ていますが、数多くのベタ金との関係が注目されるところです。
それから、当時は別の党の代表だった小沢一郎さん(衆議院議員)とは、囲碁の棋友だと語りました。今後は、政界での両者の水面下の布石にも目が離せません。
私は取材後、菅さんと平手の手合いで将棋を指しました。写真は、その対局光景(左が菅さん)。
菅さんは居飛車党で、玉を矢倉に囲いました。攻防のバランスがとれた本格的な将棋で、攻めがなかなか強かったです。早指しで長く考えても1分ぐらいでしたが、指し手はとても正確でした。
私は指導対局として、菅さんが実力を発揮できるように指し進めましたが、それとは関係なく菅さんの指しっぷりは見事でした。棋力は二段以上あると思います。そして菅さんは私に勝利し、「ちょっと早いお年玉をもらいました」と喜んでいました。
菅さんと田丸の将棋は、今週発売の「週刊将棋」(6月30日号)に掲載されています。
次回は、コメントへの返事。
| 固定リンク
「裏話」カテゴリの記事
- 6月8日に開かれた日本将棋連盟の通常総会(2018.06.19)
- 5月29日の日本将棋連盟の通常総会で報告された三浦九段の冤罪問題の後始末(2017.06.06)
- 4月27日の連盟理事予備選挙で佐藤九段、森内九段、清水女流六段など7人が内定(2017.04.28)
- 田丸が三浦九段と半年ぶりに再会。将棋連盟の理事選挙での立候補者たちの公約(2017.04.21)
- 将棋連盟の理事制度と理事選挙について(2017.03.28)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント