将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年5月31日 (月)

名人戦の大盤解説会で行った九州・熊本での観光

九州・熊本での観光

私はこの半年間、九州へ仕事で4回も行きました。昨年10月に女流王位戦の立会人で福岡県飯塚市。今年2月と3月にこども将棋教室の指導で大分市と佐賀市。そして5月上旬に全国的に開催された名人戦第3局の大盤解説会で、熊本の会場に派遣されました。

名人戦(羽生善治名人―三浦弘行八段)は羽生の4連勝で終わりましたが、いずれの対局も熱戦でした。とくに第3局は終盤で大波乱が起き、解説会で私と参加者たちは固唾を呑んで戦況を見守りました。三浦が精魂尽きて投了した局面が、じつはまだ難解な形勢だったことが局後に判明しましたが、それだけ大激闘だったのです。

近年の解説会の特徴はIT化です。解説者はパソコンのネット中継を見ながら、ほぼリアルタイムで指し手を進めます。以前は現地や将棋連盟と電話やファクスで連絡し合ったので、タイムラグがよく生じました。将棋ソフトを持参した参加者からは、「コンピュータはこの局面でこう指します」と聞かれたりします。その中には失笑するような手もありますが、時には感心するような手もあります。

近年のコンピュータ将棋ソフトの実力向上は目覚ましいものがあります。とくに詰めの有無を調べる検索で「この局面で詰みがあります」と表示すれば、間違いなく正解です。詰めの能力はすでにプロ棋士を超えているからです。

大盤解説会の翌日、すぐ帰京しないで観光しました。熊本を南下して八代に行き、肥薩線に乗り換えて人吉に向かいました。車窓からは青々とした球磨川の流れと切り立った山を眺められ、山水画のように美しい光景でした。仕事の空き時間にする観光では、ローカル線に乗って車窓を眺めるのが効率的な楽しみ方です。

阿蘇山にも初めて行きました。熊本から豊肥本線に乗って阿蘇まで行き、バス・ロープウェイを乗り継いで、火口付近まで登りました。写真は、今でも噴煙を上げている阿蘇五岳のひとつの中岳(標高1506M)。立ち上がる噴煙の下側には、この世のものとは思えないエメラルド色が見えました。湯だまりの硫酸とのことです。この火山性ガスは有毒で、風向きによって火口付近は立ち入り禁止となります。当日もロープウェイの上りの駅まで歩いていると、急に咳込みました。ロープウェイの運行も一時休止されました。

熊本では、新鮮な馬刺し、高菜ご飯、米焼酎がとくに美味しかったです。それから九州全般にいえることですが、牛・豚・鶏・馬などの肉料理がとても美味しかったです。それだけに、宮崎で起きている家畜の疫病問題が心配です。

次回は、女流棋士研修会での歴史講義。

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