将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年5月20日 (木)

加藤一二三九段と近隣住民との「猫」裁判は加藤敗訴

先週の14日、ある裁判の判決が新聞・テレビで大きく報じられて話題になりました。その当事者が何と加藤一二三九段でした。

新聞記事によると、東京・三鷹の集合住宅に住んでいる加藤九段が、17年前に自宅の玄関前や庭で野良猫に餌を与え始め、やがて周辺に現れた猫は多いころで18匹まで増えました。その結果、同じ敷地内の住民たちは猫の糞尿の始末や悪臭に悩まされたり、車に引っかき傷をつけられました。

住民たちは「迷惑を及ぼす恐れのある動物を飼育しないこと」と定めた管理組合の条項に違反するとして、猫への餌やりを中止するように何度も求めましたが、加藤は断固として拒み続けました。そしてついに2年前、全10戸の集合住宅のうち9戸の住民たちが加藤に対して、猫への餌やりの中止と慰謝料請求で東京地裁に提訴したのです。

加藤は裁判で、「猫は迷惑を及ぼす恐れのある動物ではない。動物愛護の精神で猫に餌を与えていて、猫の数を減らすために不妊去勢手術をした」と主張しました。

東京地裁の判決は、「被告は猫に餌やりだけでなく、段ボールを用意して住みかを与えて飼育している。その猫が原告住民に様々な被害を及ぼしていて、住民らの人格権を侵害している」として、加藤に餌やりの中止と約200万円の慰謝料支払いを命じました。

原告の住民たちの主張が全面的に認められた判決でした。一方の敗訴した加藤は、「猫は私の友達みたいなもの。静かで危害も加えません。命あるものを大切にする私の信念は変わらず、今後も餌やりは敷地外で続けます」と語り、判決を不服として控訴する方針だそうです。

動物愛護の精神と居住者の権利を巡った裁判でした。同じようなケースの訴訟はほかにもあるそうです。その背景には安易に捨て猫をする飼い主の無責任さがあり、捨て猫を世話する「地域猫」活動にも影響を及ぼしかねない判決となりました。

私は猫年(寅年)のよしみで猫が大好きで、公園や路上で猫を見つけると、「ニャオー」と声をかけて挨拶します。たいがい無視されますが、その冷淡さが猫らしいところです。

あるテレビ情報番組で、将棋愛好家でもある漫画家・さかもと未明さんが「加藤先生はその猫をどこかで飼えばいいのよ。そして将棋も指せる『猫カフェ』の店を出したら、私は絶対に行くわ」と語っていました。なかなか名案ですが、実現性は薄いでしょう。

それにしても民事裁判とはいえ、名人にもなった棋士が被告席に座る事態は前代未聞でした。じつは10年ほど前にも、居飛車穴熊の「元祖」とうたった田中寅彦九段に対して、あるアマ強豪の人が提訴した一件がありました。

次回は、その裁判の顛末について。

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コメント

居飛車穴熊訴訟については私のようなアマチュアが口出しすべきではないと思うのですが、半世紀も前に升田第三代実力制名人が名人戦の舞台で居飛車穴熊を指されている訳で…その件について名人は鼻で笑われていたのではと推測します。

投稿: ケイ | 2010年5月22日 (土) 14時11分

田丸さん、嘘はよくないと思います。
「名人にもなった棋士が被告席に座る事態は前代未聞」とありますが、米長会長が数年前武者野さんに訴えられてたのは棋界通ならだれでも
知っていますよ。

投稿: 元※ファン | 2010年6月10日 (木) 22時25分

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