名人戦(羽生名人―三浦八段)7番勝負が開幕!
第68期名人戦(羽生善治名人―三浦弘行八段)7番勝負が本日より開幕しました。第1局の対局場は、昨年と同じ東京・目白「椿山荘」。
写真は、前夜祭の光景。壇上の出席棋士と対局者は、左から森内俊之九段、木村一基八段、羽生善治名人、三浦弘行八段、藤井猛九段、渡辺明竜王。会場には将棋愛好家という川端達夫文部科学大臣、原口一博総務大臣も出席して祝辞を述べました。両対局者は名人戦に臨んで、次のように挨拶しました。
羽生「この檜舞台に立てるのは棋士としての喜びです。ファンをうならせるような将棋を指したい」。三浦「昨年の第1局は立会人を務めて花見もしましたが、今年はそんな時間はありません。素晴らしい棋譜を残したい」。
両者の対戦成績は羽生の16勝6敗で、2003年から羽生が10連勝しています。データでは羽生がはっきり有利です。ただ一定期間に続けて対局するタイトル戦では、1局の勝負の結果で流れが変わることがよくあります。そんな例が14年前に実際にありました。
三浦は五段時代の1995年、棋聖戦5番勝負で羽生に挑戦して3連敗で敗退しました。96年にも棋聖戦の挑戦者になりました。羽生は同年2月、前人未踏の七冠制覇を達成して無敵の存在でした。三浦はその羽生に対して、第1局に勝って羽生戦初勝利を挙げました。これで流れが微妙に変わりました。1勝2敗とリードされた第4局では、終盤の寄せ合いを制して勝ちました。そして第5局も勝ち、羽生から棋聖を奪取したのです。羽生の七冠の期間は約5ヵ月で終わりました。
三浦は毎日10時間も研究する勉強家として有名ですが、名人戦に備えて研究時間を2時間増やして12時間にしました。何でも、スケートの浅田真央が朝から夜まで12時間も練習すると聞き、自分はまだ足りないと痛感したそうです。また、初めての2日制対局なので、仲間の棋士との練習対局で「封じ手」の体験をしたそうです。
いかにも三浦らしいエピソードでした。とにかく今期名人戦では、三浦が第1局か第2局で1勝すれば、勝負はもつれるような気がします。
注目の第1局は振り駒の結果、三浦の先手番と決まりました。そして▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩という手順で始まり、横歩取りの戦型となりました。
名人戦は第1局の東京に続いて、岩手、千葉、福岡、大阪、奈良、山形と転戦します。今後の熱戦に期待しましょう。
次回は、櫛田六段への応援コメントと「ポンポン桂」の戦型。
| 固定リンク
「対局」カテゴリの記事
- 5月27日に開催された女流棋士の「レジェンド」蛸島彰子女流六段の引退祝賀会(2018.05.30)
- 5月10日に開催された羽生善治竜王の「永世七冠」「国民栄誉賞」の祝賀会(2018.05.25)
- 田丸門下に入った小高女流3級と、8月に奨励会入会試験を受ける鈴木少年(2017.07.17)
- 田丸一門会で元奨励会員の近藤祐大くんの新たな人生の門出を激励(2017.06.28)
- 田丸が夕刊紙「日刊ゲンダイ」で6月22日から毎週木曜日に将棋コラムを連載(2017.06.22)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
某所で田丸先生のブログが面白いと聞き拝見させて頂きました。
少し読むつもりが、素晴らしい魅力に引き込まれ、一気に全ての記事を読み終えていました。
どの記事も貴重な内容で出版するべきとも感じるものです。僭越ながらさっそくお気に入り登録させて頂きました。
自分はここ10年ほどの将棋界についての知識しかないので、昭和の時代の話はもちろんとして、貴サイトの記事でも度々取り上げられているような師弟・一門の棋士の関係、また羽生名人が七冠制覇をした時の棋士の方々が抱いた心境などに興味を持っております。
また、お暇があるときで結構ですので、記事で触れて頂けたら幸いです。長文のコメント失礼しました。
投稿: 桂馬 | 2010年4月 9日 (金) 00時12分