100人以上の小学生が参加した九州・佐賀の「親子将棋教室」
将棋連盟は昨年秋から今年3月にかけて、文化庁が主催する「親子将棋教室」の事業を全国各地で行い、指導を担当する棋士たちは手分けして各地を回っています。私は関東、長野、東北、九州など、7地区に行きました。どの会場も多くの子どもたちが参加して熱気があり、保護者の方たちが将棋は健全な娯楽と認識しているのが良かったです。
私は将棋を教えるというよりも、子どもたちと一緒に楽しむ気持ちで臨みました。大盤解説では、子どもたちに次々と質問しました。すると多くの手が上がり、指名された子は大盤の前で自分の考えを堂々と言いました。こうした双方向の講義は好評でした。
多面指しの指導対局では、本人が希望すれば平手で指しました。どの手合いでも、なるべく相手の狙いに応じるように指し、わざと負けてあげることもありました。とにかく「将棋って楽しいな」と思ってもらえばいいのです。
写真は、九州・佐賀での将棋教室で、会場は佐賀城内にある歴史館。何室も続く300畳の大広間に、大盤解説・指導対局・自由対局のコーナーが設けられました。当日は佐賀大学付属小学校の生徒が100人以上も参加しました。写真では見えませんが、奥の部屋には30面ほどの盤が置かれ、子どもたちが指しています。
100人以上の子どもたちが集まると、中には騒いだり動き回る子も出てきます。しかし先生方の指導が行き届いていて、じつに統制が取れていました。また、グループの班長を務める子どもたちが、自主的に整列させたり指示していました。将棋を指す子どもたちはじつにしっかりしているものだと、私は感心しました。
指導対局では「コ」の字形のテーブルの上に30面の盤が置かれました。私はできるだけ子どもたちと指したいと思い、同行した櫛田陽一六段(私の弟子)と一緒にフル回転で指しました。2時間半で合計50局は指したようです。
子どもたちの棋力は様々です。初心者の中には、銀が横に動いたり、盤上の駒がずれたり、勝手に何手も進んだりして、途中でわけがわからなくなることもありました。そんなときは自然体で指し、さっさと負けてあげます。
女の子も多かったです。中でも武富礼衣さんは、小学生名人戦の佐賀代表に2年連続でなった有段者で、今年の西日本大会では準々決勝まで勝ち進みました。私は武富さんと平手の手合いで指しました。教室終了時刻の10分前に始まったので、1手1秒の超早指しでしたが、武富さんの指し方は驚くほど正確でした。終盤では私のほうが間違えてしまい、見事に負かされました。今後の棋力向上と活躍が楽しみな女の子です。
今回の「親子将棋教室」は麻生政権の置き土産で、今年度の補正予算で組まれました。現下の鳩山政権では今のところ未定です。日本の伝統文化を子どもたちに広めることはとても意義があります。来年度も実現されることを願っています。
次回は、各地の将棋教室の合間での観光。
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コメント
はじめまして!初めてコメント致します!田丸先生、櫛田六段、のファンです!お二人共に、これからもお体には気をつけて、頑張って下さい!!お二人のご活躍を期待しております!!頑張れーー田丸先生、櫛田先生!!
投稿: マサヤ | 2010年3月27日 (土) 23時27分