将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年3月 1日 (月)

「瀬川問題」などのコメントにお答えします

このブログを始めて5カ月たちました。多くの方たちに読んでもらい、とてもうれしく思っています。『穂高』さんと『堺市民』さんは、更新を「毎日」「月木だけといわずもっと」にしてほしいとのコメント。日々の生活を綴った内容ならできるかもしれません。ただ私は評論を軸にしたいので、当面は週2回の更新を続けていきます。

『ジロウ』さんは、私が以前に将棋雑誌に書いた座右の銘について、『<量を突き抜け 質に至れ>が印象的です』とのコメント。私は青年時代、ドイツの哲学者・ヘーゲルの弁証法理論に傾倒しました。水が100度の沸騰点に達して気体に変化するように、量を積み重ねて極限に至れば大きな変化が起きる、というのが前記の言葉の意味です。私は奨励会の三段時代、その言葉を自分に言い聞かせて四段をめざしていたのです。

『わいるどる』さんは「田丸流左玉は相振り飛車の戦法でしょうか」とのコメント。確かにその通りです。振り飛車に対して、飛車を8筋に振ります。そして先手だけの指し手を説明すると、6筋の位を取って6六角と上げ、6七銀・5七銀・5八金・3八金・7七桂と駒組し、7八玉と左側に囲います。さらに飛車で歩交換して8九飛と下段に引けば理想形となります。飛車角で相手陣をにらんで圧力をかけるのです。

『ソフトバンクファン』さんは、3年前に亡くなった真部一男九段について、「田丸はどのような感想をお持ちですか」とのコメント。私は真部九段とは、奨励会入会と四段昇段がほぼ同期で、若いころは親しい仲でした。いろいろな思い出があるので、いずれブログのテーマにしたいと思います。

『morris』さんは「昨年の大分での王将戦第4局の前夜祭で、立会人の私やほかの棋士と話をして、それがきっかけでその後も前夜祭に行くようになりました」とのコメント。タイトル戦の前夜祭の会費は決して安くありません。そんな場に何回も参加していただき、ありがとうございます。じつは、大分でのことはよく覚えていません。また同席する機会のときは、ぜひ声をかけてください。

『popoo』さんは「瀬川さんの編入試験」についてのコメント。瀬川晶司(四段)は、年齢制限で奨励会を三段で退会し、後年にアマ名人戦優勝などの実績で特別参加したプロ公式戦で、25勝8敗と好成績を挙げて話題になりました。そして「棋士にしてほしいと、将棋連盟に働きかけるつもり」と爆弾発言すると、実際に連盟に嘆願書を提出しました。

それに対して棋士たちは、「奨励会制度が崩壊する」「付け出し三段なら認める」などの意見が多く、とくに保守的なベテラン棋士や厳しい制度を経てきた若手棋士は拒否反応を示しました。しかし「実力のあるアマに対して、連盟は門戸を開放すべきだ」という外部の声、瀬川を後押しする棋士たちの動きがあって、連盟理事会は門前払いは良くないと判断しました。瀬川の編入問題は、2005年の棋士総会の決議事項となり、129票対52票で可決されました。私も賛成票を投じました。棋士たちの考えも次第に変わっていったのです。

次回は、3月2日のA級順位戦の結果。

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コメント

田丸さん、コメント欄があるので、ここのコメントに直接返答してもいいと思いますよ。
田丸流右玉は(先手の場合)65歩の位を取れない展開もあり得ますね。後手番でも出来る戦法ですよね?
角替わりの右玉は知っていましたが、左玉は最近まで知りませんでした。
飛車と玉が接近する形は指しこなすのが神経を使います。

投稿: わいるどる | 2010年3月 1日 (月) 21時48分

実戦で田丸流左玉指そうとしましたが。65歩の位を取れませんでした。それと、58金と38金の形に出来なかったです、相手の駒組みの都合でなかなか理想型には組めません。左玉には出来ましたが。
理想型に組めた場合は作戦勝ちでしょう。

投稿: わいるどる | 2010年3月 4日 (木) 06時44分

東西対決時代の田丸さんも賛成票を投じるということは、それだけアマの力がアップしたことも上げられるのでしょうね。
ご回答ありがとうございました。

投稿: popoo | 2010年3月 4日 (木) 10時20分

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