将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2010年3月15日 (月)

「引退棋士とフリークラス」などのコメントについて説明します

「有吉九段と大内九段の現在の立場はフリークラスでしょうか」とは、『popoo』さんのコメント。フリークラスとは、順位戦に参加しない棋士の立場です。そのフリークラス棋士の処遇は、「転出」と「降級」とで違います。やや複雑な制度ですが、簡略に説明します。

前者は、順位戦に在籍している棋士が、ある時期にフリークラスに「転出」することです。引退した中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖らがそうでした。名人経験者のような大棋士が順位戦でA級から降級した場合、以前は引退という問題が生じましたが、この制度によって順位戦に不参加でも現役を続けられます。ただし、順位戦に復帰することはできません。現在、フリークラスに転出した棋士は勝浦修九段、石田和雄九段など17人。田丸も昨年の春に転出しました。

フリークラス転出時の順位戦のクラス、年齢によって、フリークラスに在籍できる年数が決まり、定年は原則として65歳です。前記棋士の場合、63歳の勝浦は2年後、62歳の石田は3年後、59歳の田丸は6年後に引退となります(年齢は現時点)。なお転出時に65歳以上でも、一定の条件で在籍できます。

後者は、順位戦でC級2組から「降級」してフリークラスに在籍する棋士のことです。10年以内に規定の成績(勝率6割など)を収めれば順位戦に復帰できますが、10年を過ぎると引退となります。また降級した場合の定年は60歳で、10年以内でもその年齢に達すると引退となります。有吉九段と大内九段は60歳を過ぎているので、年齢規定によってフリークラスに在籍できず、引退が決定したわけです。

降級と転出を会社員の定年に例えると、「正社員」を続ければ定年は60歳で、それ以前に「嘱託」になれば定年は65歳まで延びる、との比較がわかりやすいでしょう。

有吉九段が残っている対局を連勝し、棋王戦でタイトルを獲得したり、NHK杯戦で優勝したら、次期はどうなるのか…。タイトル経験者(棋聖)で29年前のNHK杯戦優勝者、という実績があるので可能性はあります。私見ではその場合、棋王戦は保持者として挑戦を受け、NHK杯戦は特別出場できると思います。ただ順位戦への復帰は無理でしょう。

「死に体」なのに「超常現象」によって生き返ったら、まるで「ゾンビ」みたいです。しかし、そんなことが本当に実現したら大ニュースです。有吉の今後の対局に注目しましょう。

「NHK杯戦の大内―田丸戦で、大内の棒銀から意表の角出に、田丸が長考に沈んだ1局が印象に残っています」とは、『spinoza05』さんのコメント。あまり思い出したくありませんが、1994年9月に放送されました。中盤で大内九段に△4四角と出られて△2六香と飛車取りに打たれ、不利となって一方的に敗れました。

それにしても、16年前の好カードでなくて内容も良くない将棋をよく覚えていましたね。私は当時、あの女流棋士の失踪問題でメディアによく登場していました。女流棋士と同席した記者会見ではライトブルーのスーツを着用し、同じ服で対局に臨みました。その服が印象的だったのでしょうか…。

次回は、今回予定テーマの直木賞受賞式。

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コメント

田丸先生のブログがあるだなんて知りませんでした!
全部読みました。とても面白いです♪

実は私が将棋を覚え母親にNHK講座の本を買ってもらったときの講師が田丸七段(当時)だったのです。
そのときの内容は【スジチガイ角】
テレビ観ながら訳もわからず並べていたのを思い出します。
当時小学生の私も今じゃ立派な(?)アラフォーです。
一応アマ4段くらいにはなりまして、その原点は田丸先生だと思っておりまして、棋士・田丸昇には思い入れが人一倍深いわけなのです。

失礼ながら田丸先生ももう棋士としての最終章に入られたかとも思います。
またNHK杯戦での田丸先生の勇姿を拝見したいものです。

投稿: ホネツギマン | 2010年3月16日 (火) 16時40分

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 第44回NHK杯2回戦より。  ▲7六歩△3四歩▲9六歩△1四歩という出だしから,先手が相居飛車か相振飛車を志向するという将棋。以下▲6六歩に△8四歩と突いたので相居飛車に。先手が早めに9筋を突いたのを咎めようと後手が棒銀に出て第1図。                  ここで後手はいきなり△9五歩と仕掛けました。▲同歩△同銀▲同香△同香▲9七歩。棒銀では定跡的な攻めで,ここで△9八歩と垂らすのが棒銀の手筋。しかし後手の狙いは別のところにあり,△4四角(第2図)と飛び出しました。         ... [続きを読む]

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