八方破れに指す俳優の森本レオさんの「高円寺」将棋
俳優の森本レオさんは将棋が大好きです。暇さえあれば東京・高円寺の酒場で将棋仲間と指しています。定跡にとらわれない八方破れの将棋が得意です。棋力は三段以上で、芸能界きっての強豪でしょう。俳優仲間では、長門裕之さん、大滝秀治さん、渡辺徹さん、石原良純さんらと、楽屋でよく指しました。
森本さんが将棋に熱中し始めたのは35年前。ある演出家と指して負けたとき、「将棋の筋が読めなくて、よく台本が読めるな」と言われ、それが悔しくて発奮しました。棋書を読みまくって勉強し、寝ても覚めても将棋のことばかり考えました。そして3ヶ月後に演出家と指し、散々に負かしました。森本さんが「役者より読みが甘くて、よく芝居が作れるな」と反撃すると、「将棋は強くなったけど、芝居もそれだけ熱心なら、いい仕事ができるのに…」と、またも毒舌を吐かれたそうです。
森本さんの将棋好きはやがてメディアに伝わり、テレビや週刊誌の企画で棋士とよく指しました。その相手は大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治名人、米長邦雄永世棋聖、内藤国雄九段など、じつに豪勢な顔ぶれです。私も以前に森本さんと2枚落ちの手合いで指しました。序盤はいいかげんですが、中終盤がとても強い将棋です。
森本さんが行きつけの高円寺の酒場では、3分以上考えたら反則負け、待ったや口出しは5回までOK、どんなに長くても30分以内に終わらせる、という「高円寺」将棋のルールがあるそうです。ばたばたと早く指し、何回負けても「ちぇっ、ついてないや。じゃ、つぎいこう」と言って、延々と指し続けるのです。
森本さんは将棋の楽しさについて、「将棋って、2人の対局者で推理小説を作り上げるようなもの。しかも、どちらが探偵か犯人かわからず、途中で入れ替わったりします。そんな不安感を持ちながら指すのが楽しいんです。だから勝ち負けに、あまりこだわりません」と語っています。
前回のブログで紹介した「異業種交流将棋会」に、森本さんが初めて参加しました。写真は対局姿。背筋を伸ばしてなかなか絵になっています。久しぶりに有段者の強い人と指して緊張したようですが、得意の荒技を使って暴れ回っていました。
次回は、お天気キャスタ−の森田正光さんの将棋について。
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