将棋棋士 田丸昇の と金 横歩き

2009年10月22日 (木)

対局での遅刻時間は持ち時間から3倍引き。最長1時間の遅刻で不戦敗の囲碁に比べて甘い将棋の対局規定

前回は、先週のタイトル戦で女流棋士が犯した反則をテーマにした。その反則には「二歩」「王手うっかり」「駒の動き方を間違える」「2手続けて指す」など、盤上の指し手による例が多い。盤外での状況によって、反則負けや不戦敗になるケースもある。

持ち時間を使いきって1手60秒(または30秒)の秒読みでは、最後の10秒を1、2、3…と読まれ(ちなみにロケット発射は10、9、8…の順)、9のうちに指さないと時間切れで負けになる。NHKのテレビ対局では、10の時点でブザーが鳴る。ただ通常の対局では、記録係が10を読むのをためらい、タイムオーバー気味になる場合がある。

対局日や対局場所を思い違いして、不戦敗になったケースもある。関東―関西の棋士の対局で、関東の棋士が関西に行くべきなのに、関東と思い込んだのが後者の一例。どちらの不戦敗も、棋士としてとても恥ずかしいことだ。対局通知をしっかり確認すれば、そんなことには絶対にならないはずである。

対局開始時間に遅刻すると、遅刻時間の3倍を持ち時間から引かれる。たとえば持ち時間・5時間の対局で、40分の遅刻は持ち時間が3時間に減る。1時間40分以上の遅刻だと、持ち時間がなくなって不戦敗になる。持ち時間の少ない対局では、1時間以内の遅刻で不戦敗になる場合がある。

今年3月の持ち時間・6時間の順位戦の対局で、棋士Aが1時間57分も遅刻した(理由は寝坊)。相手の棋士Bは、来るのか来ないのかといやな気分で待っていただろう。そして不戦勝と思った矢先に、Aが対局室に駆け込んできた。Aの持ち時間は、わずか9分に減った。しかし対局結果は、なんとAが勝ったのだ。将棋の内容は別にして、2時間近くも待たされたBは心理的に悪影響が及んだと思う。

今月8日に台風18号が上陸し、首都圏の交通機関は大きく乱れた。その影響を受けて川本昇九段、梅沢由香里女流棋聖ら4人の囲碁棋士が、日本棋院の対局場に11時まで到着できず不戦敗になった、という記事が新聞に載った。日本棋院の対局規定では、遅刻の事由や持ち時間にかかわらず、遅刻1時間で不戦敗になる。

遅刻に関しては、将棋の対局規定は囲碁に比べて甘いと思う。将棋も最長1時間の遅刻で不戦敗にすべきだ。

次回は、私が立会人を務めた21日の女流王位戦(石橋幸緒女流王位―清水市代女流二冠)第3局の模様をお伝えする。第2局で反則負けを喫した石橋の様子が見物だ。

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