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2016年9月 4日 (日)

14歳2ヵ月の最年少記録で藤井聡太・新四段誕生

14歳2ヶ月の最年少記録で藤井聡太・新四段誕生

9月3日に東京の将棋会館で行われた奨励会の第59回三段リーグの最終日で、藤井聡太(ふじい・そうた)三段が13勝5敗の成績を挙げて1位に入り、14歳2ヵ月の最年少記録で四段に昇段しました。ビッグな新星の誕生にメディアも注目し、その日のうちにテレビやネットで速報され、翌日には朝刊の1面に記事が載りました。

写真は、記者会見で王将の置き駒を持ちながら笑顔を浮かべる藤井新四段。今後の目標について、「実力をもっとつけてタイトルを狙える位置にいきたいです。憧れの棋士は谷川先生(浩司九段)で、自分もそういった鋭い寄せができればと思います」などと、はにかんだ様子で語りました。

藤井は愛知県瀬戸市の生まれで、5歳のときに祖母から将棋を習いました。地元の将棋教室に通った後、小学1年で東海研修会に入会して腕を上げました。そして2012年9月の10歳のときに杉本昌隆七段の門下で関西奨励会に6級で入会しました。その後は14年6月に初段、15年10月に13歳2ヵ月の最年少記録で三段に昇段と、異例の速さで昇進していました。研修会時代から指導してきた師匠の杉本七段は、「子どもの頃から優れた大局観を持っていました。負けた後に泣きながら将棋盤にしがみついて離れないこともあり、とても負けず嫌いでした」と藤井の少年時代を振り返りました。

藤井は昨年3月、詰将棋を解く速さと正確さを競う「詰将棋解答選手権」に出場し、棋士や詰将棋マニアなど約80人の中で、難解な10問の詰将棋をすべて正解して優勝しました。今年の大会でも優勝して連覇しました。読みの深さと速さはすでにプロ棋士の力を有していて、詰将棋で鍛えた終盤の強さが持ち味でした。

しかし、どんなに強くても難関の三段リーグで勝ち抜くのは大変です。藤井は今年4月に始まった三段リーグ(出場者は29人)の前半で7勝2敗の成績を挙げました。その後も白星を重ねて昇段争いに加わり、12勝4敗で9月の最終日を迎えました。残りの2局で連勝すれば昇段できる自力の立場でした。その1局目で坂井信哉三段に敗れましたが、ほかの昇段候補たちも敗れたことで、いぜんとして自力でした。そして2局目で西山朋佳三段に勝ち、四段昇段を果たしました。

藤井は今年の10月1日付で14歳2ヵ月の最年少記録で四段に昇段します。従来の記録は加藤一二三九段の14歳7ヵ月でした。中学生棋士の誕生は、加藤九段、谷川九段(四段昇段時の年齢は14歳8ヵ月)、羽生善治三冠(同15歳2ヵ月)、渡辺明竜王(同15歳11ヵ月)に次いで藤井が5人目です。また、三段リーグを1期で抜けたのは藤井が6人目です(全員が初出場の第1回三段リーグでの2人の昇段者を除く)。

三段リーグで2位に入った大橋貴洸三段(所司和晴七段門下・23歳)も四段に昇段しました。三段リーグの在籍は12期目でした。3位の次点は黒田尭之三段(畠山鎮七段・19歳)。私は兄弟子の故・米長邦雄永世棋聖門下の杉本和陽三段(現在は伊藤能七段の預かり弟子・25歳)を個人的に注目していました。以前に次点の成績を取ったので、2回目の次点を獲得すれば、規定によって四段昇段とフリークラス編入の権利が生じます。しかし大橋三段、黒田三段らと同成績の12勝6敗ながら、順位下位によって5位となりました。

藤井四段の公式戦デビュー対局は12月に始まる次期の竜王戦になる見込みで、アマ竜王戦で実績を挙げた強豪アマと当たる可能性があります。

加藤九段は「現役最年長(76歳)の私が、21世紀生まれで最年少の藤井四段と対局できると考えるとわくわくいたします」と語りました。新旧の最年少四段昇段記録を持つ両者の対局をぜひ見たいものです。ただ愛知県在住の藤井は関西の所属になるので、順位戦での対局の可能性が最も高いです。そのためには今期のC級2組順位戦でぎりぎりの立場に追い込まれている加藤九段の奮戦に期待したいところです。

藤井は名古屋大学教育学部付属中学校の2年生。今後は将棋と学業の両立が課題になりそうですが、中学卒業後は高校に進学してほしいと思います。将棋界以外の世界で生きることは、決して無駄にはならないからです。同じ中学生棋士だった谷川九段、羽生三冠、渡辺竜王は、高校に通いながら盤上でも活躍していました。

 

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2016 09 04 11 55 05 | | コメント (5) | トラックバック (0)

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